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H・アール・カオス『エタニティ』インタビュー!

H・アール・カオスが、この夏6年ぶりとなる待望の新作『エタニティ』を発表! H・アール・カオス主宰であり日本を代表する演出家のひとり、大島早紀子さんが構成・演出・振付を、ダンサーの白河直子さんがソロを踊る注目作です。開幕に先駆け、大島さんと白河さんのお二人にインタビュー。作品への意気込みをお聞きしました。

その抜群の身体性を維持するために、普段のトレーニングはどのようなことを行っていますか?

白河>バーレッスンとフロアを基本に、身体のなかを通っていくようなイメージを持つようにしています。あとは、関節だとか身体の機能的な部分をはっきりと感じながらやろうというのは考えています。すごくマニアックです(笑)。

大島>立ち方とか、どの関節がどうとか、白河さんはとにかく細かい。でもそれができる身体なんですよね。

(C) TOKIKO FURUTA

(C) TOKIKO FURUTA

白河>要するにどうしたら楽に動けるのかということに興味があって、ムリなく動ける方法を探りたいんです。ハウツー本なんかもかなり読み込んでます。何回も繰り返すことによって磨かれていくという年齢ではないし、やっぱり理に叶った考え方をした方がいい。そうでないと磨り減ってしまう。やっぱりお腹から通ってないとダメで、それはいつも考えてますね。

大島>白河さんは出会ったときから他の人とは全く違ってましたね。床の上に立ってるだけでもう違っていて、ただ立ってるだけではなく、吸い上げてすとんと立ってる感じ。私も彼女とでなければカンパニーを作ろうとは思わなかった。もともと人と違う人がこれだけ努力を重ねてるんだから、どんどん違ってくるんだろうなと思います。

(C) TOKIKO FURUTA

(C) TOKIKO FURUTA

ここまで動けてしまう身体が相手だと、着地点がないのでは?

大島>そうかもしれないです。これでいいということはないですね。

白河>なんだかここにきて、人生が一周したような気がするんですよね。踊りに対しても世の中に対してもそう。以前は若かったからということもあるけど、忙しすぎていろいろなことが見えてなかった。だけど、今だから踊れるのがこの作品なのかなっていう気がして。若いときだったら踊れなかったし、いい作品を作ってくれたなって感謝しています。でもやっぱりいつかは、“これができない”というときが来ると思う。でもまだちょっと頑張れるのかなって思っています。

大島>永遠のものってないから、いつかできなくなるというのは当たり前のことではあって。けれど刹那刹那に込めた想いが強ければ強いほど、永遠に通じる深淵に触れるというか。彼女が踊っている空間の中で、何か深い芯に触れる瞬間があるような気がします。でもそれは彼女だけではなくて、私たち生物は全て有限の身体で、有限な存在だからこそ失われていくものがある。そういうもののなかに儚い命や儚いダンスの時間、切ない美しさがあるんだと思う。それは理屈じゃなく人を感動させるものがある。そう思いながら、白河さんのことを見ています。

(C) TOKIKO FURUTA

(C) TOKIKO FURUTA

 

-コンテンポラリー