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金森穣×井関佐和子『Liebestod-愛の死』インタビュー!

Noism芸術監督であり演出振付家の金森穣さんが、最新作『Liebestod-愛の死』を発表。創作活動25年を迎えた今、18歳のころから温め続けてきた構想のもと、振付家としての原点を改めて見つめます。開幕を前に、金森さんと副芸術監督であり舞踊家の井関佐和子さんにインタビュー。作品への想いとクリエイションの様子をお聞きしました。

ダブルビルとして、2014年にNoism2で初演した山田勇気振付作『Paited Desert』を上演します。今回の再演にあたり、リクリエイションはされるのでしょうか? この作品を本公演で上演しようと考えた動機とは?

金森>基本的には初演と変わりません。Noism2の場合は男性が少なかったのが今回は増えて男女比のバランスは変わるけど、違いとしてはそれくらい。Noism2時代にオリジナルを踊っているのは浅海侑加だけ。それ以外のメンバーは初演です。

自分は『Liebestod』に集中したいから、キャスティングもリハーサルも山田に任せています。作品として十分強度があり、かつ金森穣以外の作品で、Noism1の舞踊家が、自分たちが踊ることの必然性を見い出せるかが見たいし、お客さんにもそれを見てもらいたい。そこにこの作品をNoism1で上演する意味があると考えています。

 

『Painted Desert』2014年初演より 撮影:村井勇

『Painted Desert』2014年初演より 撮影:村井勇

 

これまでも再演ものは何度か上演してきましたが、それは金森作品であり、たいていはNoism1のために振付けられたもの。他の誰かの作品で、しかも自分たちのために振り付けられたものではない作品の瞬間瞬間をどう彼らが認識して、どう自分たちのものにして表現するか。それは舞台にあらわれるし、すごく問われるところでもある。

もし単純に“Noism2よりは身体がきくよね”というところで止まっていたら問題で、Noism1としての彼らが立証されていないということになる。彼ら自身が作品を背負い、実演家としてのポテンシャルをきちんと表現できなければダメ。Noism2を観たことのある人たちの目で見られるということも含めて、彼らがそれをどう覆すか。“Noism1はやっぱりすごいね”という瞬間まで持っていくことを彼らは考えなければいけない。

今のNoism1の舞踊家たちが、与えられた作品の中でどうするか。自分もすごく楽しみにしています。

 

撮影:遠藤龍

撮影:遠藤龍


副芸術監督、芸術監督の立場から見て、今のNoism1をどう感じますか? 

井関>今までは取りあえず個々の身体の鍛錬に取り組まなければならなかったけど、その部分はだいぶ成熟してきてる。これまでのNoism1を振り返っても、穣さんの身体性を理解しようという気持ちも含めて、実際に今ひとりひとりの身体レベルが一番上がってきている状態だと思います。

でも穣さんから与えられたものをそのまま実演するだけではなく、ひとりの表現者として彼らが芸術家になりうるかというと、まだまだ足りない部分は多い。“Noism2よりはNoism1の方が上手いね”と言われるくらいなら、Noism2+でいいんです。でもNoism1だという以上、芸術家集団として世に出ていかなければいけない。ヨーロッパのダンサーって、ヘタでもなんでも芸術家気取りするんですよね。それは善し悪しではあるけれど、日本人はそこが足りないところで、それぞれが意識を持ってしかるべきだと思う。

Noism1も少し間違えばスクールっぽくなってしまうし、どうかするといい子ちゃん過ぎる。生徒ならいい子ちゃんでもいいけれど、舞台に立つとなったらそれでは厳しい。逆に日本の場合は自分にプライドがある人はさっさと独立して、振付家としてひとりで活動をはじめるパターンが多い。集団が表現者としてのプライドを持っているカンパニーは日本には少ないし、それができてはじめて日本唯一のプロの集団だと言えると思っています。

金森>みんなNoismに対する想いがあるし、真面目に頑張ってる。昔みたいに心ここにあらずで、いずれ独立しようとか、常にその後の自分のことだけ考えているようなメンバーはいない。でも逆にこちらが求めるものに応えることはできたとしても、それ以上にひとりの独立した芸術家としてどこまでできるか、どこまで人生をかけられるか、というのが彼らの課題。そういう意味でそれぞれがきちんと舞踊家として立ち、その上で金森穣と一緒にやりたいと望む関係性になること。舞踊集団としてそこを目指していきたいし、それが彼らに求めていることです。

 

撮影:遠藤龍

撮影:遠藤龍

 

 

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