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谷桃子バレエ団新芸術監督 高部尚子インタビュー!

谷桃子バレエ団の新芸術監督に、同団プリマの高部尚子さんが就任! 芸術監督就任第一弾公演として、この夏『コンテンポラリーダンス・トリプルビル』を上演します。開幕に先駆け、高部さんに芸術監督就任の想いと公演への意気込み、今後の展望をお聞きしました。

ご主人の坂本登喜彦さんとは公私ともにパートナーとして数々の舞台に立たれてきました。

高部>坂本と結婚したのは30歳手前のころ。実は彼と古典で共演したことはほとんどなくて、東京バレエ劇場の『コッペリア』にゲストで出たのが唯一の全幕でした。あとは全部パ・ド・ドゥや創作です。結婚したころは小野先生のスタジオで教えもはじめていましたが、小野先生が亡くなったのを機にそこをを引き継ぐことになり、主人に手伝ってもらいつつふたりで続けていきました。その後谷先生が引退し、副団長になってからは、バレエ団の方の稽古も見るようになりました。同時に恵比寿で主人とふたりでスタジオをはじめて、今では生徒が70人くらいになっています。なので今は日中はバレエ団に詰め、夕方以降は坂本・高部バレエスタジオで教えをするという毎日です。

 

『コンテンポラリーダンス・トリプルビル』リハーサル

『コンテンポラリーダンス・トリプルビル』リハーサル

 

芸術監督として、ダンサーとして、教師として、非常に多忙な日々を過ごされています。バレエを離れたいと思うようなことはないですか?

高部>自分が踊っているときは思ったことはなかったですね。ダンサーとしてもそうですし、振付を囓るようになってからもそうですけど、創造する時間はすごく楽しい。けれど子供たちを指導したり、団員を指導したり、団の振付を見直して振りをダンサーたちに渡したりといった作業が増えてくると、自分の創造する時間がもっと欲しくなります。でも今は広崎さんに振付けを与えてもらい、ダンサーとして踊るということ自体が久しぶりだし新鮮ですね。それが自分の中でいい気分転換になっていますし、人に何かを与えてもらえるというのはありがたいなと思います。

 

『コンテンポラリーダンス・トリプルビル』リハーサル

『コンテンポラリーダンス・トリプルビル』リハーサル

 

今後のバレエ団のラインナップは? 高部さんがバレエ団に振付けをする可能生はあるのでしょうか。

高部>1月の新春公演は『白鳥の湖』で決まっていて、秋公演はミラノで研修してきた伊藤さんの作品を発表する予定です。私自身の振付作品は今のところ決定事項としてはありませんが、どこかのタイミングで挑戦できればとは思っています。ただ私は振付家としてはまだまだだと自分では思っているし、その前にバレエ団のことを考えなければいけません。再来年また新春公演があるので、そのあたりで何かできればいいのかなとぼんやり考えています。

 

『コンテンポラリーダンス・トリプルビル』リハーサル

『コンテンポラリーダンス・トリプルビル』リハーサル

 

バレエ団としての課題、目指すものとは?

高部>団員の技術向上を目指したいというのがまずひとつ。その上で演技力を付けていきたいと考えています。谷先生がいちばん大切にしていたのが、物語力や演技力、心のありようでした。“踊りで何をみせるかというと、心なのよ”というのが谷先生の口癖でもありましたし、私たちダンサーもそこに向かって踊ってきました。もちろん技術力は必要だけど、確固たる物語性や強い表現力こそ一番お客さまに持ち帰っていただきたいものです。よく踊るね、よく跳ぶね、いい動きだね、だけではない部分を強く押し出したい。ダンサーではあるけれど、ある意味演劇集団でいたい。それが一番の課題であり、目指していきたいところです。

 

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