dancedition

バレエ、ダンス、舞踏、ミュージカル……。劇場通いをもっと楽しく。

小㞍健太『Study for Self/portrait』インタビュー!

コンテンポラリーダンサーの小㞍健太さんが、この夏原美術館を会場にダンスパフォーマンス『Study for Self/portrait』を開催。自身の振付によりソロを踊り、そのダンサー人生と今後の行方を描きます。開幕を前に、小㞍さんに作品への想いをお聞きしました。

2012年に帰国して今年で5年。最近はコンテンポラリーダンスはもちろん、ミュージカルの振付やフィギュアスケート選手への指導と幅広い活躍を遂げています。

小㞍>実は僕がバレエを習うきっかけになったのがフィギュアスケートで、テレビで音楽に合わせて滑ったり回ったりしているのを見て“これがやりたい!”と言ったのがはじまりでした。ただうちの母にはフィギュアスケートという概念がなく(笑)、結果的に体操とバレエをはじめた訳ですけど……。フィギュアの選手はバレエと違って脚を開く必要はないけれど、上半身の使い方や方向の取り方、手の使い方といったものはきっと彼らのためになるはず。今は表現面の点数も結構加算されるようになっているので、スケートに踊りを上手く使えるようにいろいろアドバイスさせてもらっています。

今年はノービスからジュニアの選手(9歳〜15歳くらいまで)の指導をしましたが、フィギュア選手のピークはすごく早くて、20歳前に完成されてなければいけない。ダンサーだと30歳くらいでようやく表現に余裕が出て幅が広がっていくけれど、フィギュアの子たちはものすごいスピードで気づかせてあげないといけない。ただやはり自分で気づかないと変えられないので、僕は彼らに気づいてもらえるよう種まきをしている感じです。

ミュージカルは『エリザベート』と『ロミオ&ジュリエット』の振付をさせてもらいました。演出家の小池修一郎さんからオファーをいただき、当初は“ミュージカルの振付は特殊だし自分にはできません”とお伝えしたんです。でも小池さんが“新しい要素を作品に入れたい。君がやってきたことを入れてくれればいい”と言ってくださって。ダンサーではない方々にどういう言葉を使ってどういう風に役の解釈と動きを説明するか、そこはすごく勉強になった部分です。

 

(C) TOKIKO FURUTA

(C) TOKIKO FURUTA


現在は日本はもちろんヨーロッパの舞台にも多く立たれています。

小㞍>今年も11月からロイヤル・スウェディッシュ・バレエ団にコンテンポラリーの作品を踊りに行く予定で、現地に4ヶ月ほど滞在します。ヨーロッパでどんなものが流行っているのか、どんな新しい振付家がいるのか、現地に行くことで新しいものを見聞きすることができる。大きなカンパニーは来日もするけれど、状況はどんどん進んでいるので、現場のダンサーの話を聞くとやっぱり刺激になります。そのためにもちょっとヨーロッパと鎖をつなげておきたいという気持ちがあります。

理想としては、一年の半分を海外で、半分を日本で過ごしたい。でも最近はあまり拠点というものを考えないようになりました。僕らは踊りや振付の環境がないと活動できないので、場があるところにいくしかない。ヨーロッパで環境があれば行くし、日本であればそこで踊るし、アジアでできたらそこに行きたい。日本でもレジデンスのシステムがだいぶ整ってきたり、海外でも受け入れてくれるレジデンスが増えてきたので、そういうところをまわってみようかなという気持ちもあります。

 

(C) TOKIKO FURUTA

(C) TOKIKO FURUTA


ヨーロッパと比べ、日本のダンス環境に不満を感じることはないですか?

小㞍>フリーランスはどこに行っても一緒という気がします。カンパニーに所属していれば海外の劇場の方が雇用システムもはっきりしてるし、労働組合もあり、保険や年金も出たりと、いろいろ保証されている。オランダの場合ダンサーは40歳で定年を迎えますが、リトレーニングプログラム(ダンサーのための再就職補助金システム)があって、次の人生のための資金援助が出るんです。

労働組合が管理をしていて、オランダ中のダンサーは全員少しずつ積み立てをしています。引退を決めると、それで大学に行き直したり、マッサージ師や舞台照明の勉強をして裏方に転向していく。早めにダンサーを辞めた人の中には、パイロットになった人や弁護士になった人もいます。あと学費と生活のサポートが受けられるシステムがあって、家庭を持っている人などは特に安心して暮らすことができる。そういう意味では海外の方が環境は恵まれているけれど、僕はそれを捨ててきた。僕は海外にいれば外国人だし、日本にいてもちょっと外国人扱いのようなところもある。ただ自分が何をしていくかという点では、どこにいても変わらないと思います。

 

(C) TOKIKO FURUTA

(C) TOKIKO FURUTA

 

 

-コンテンポラリー