レーゲンスブルク劇場ダンスカンパニー・竹内春美インタビュー!
レーゲンスブルク劇場に入団したきっかけを教えてください。
竹内>優貴さんが芸術監督に就任した2012年に入団して、今シーズンで6年目になります。もともと優貴さんがヴィースバーデンにあるシュテファン・トスのカンパニーで踊っていた頃、私は文化庁の在外派遣員として留学していて、優貴さんがレーゲンスブルク劇場の芸術監督になるタイミングで声をかけていただきました。
新ダンスカンパニーの発足にあたり、800名近くあった応募者の中から優貴さんが公開オーディションのために300名ほどに絞り、そこから7名のメンバーが選ばれました。加えて優貴さんが芸術監督に就任する前の監督の下で踊っていたカンパニーメンバーにもオーディションを行い、そこから選ばれた1名と、 ヴィースバーデンから1名、そして私の計10名で最終メンバーが形成されました。
今もそうらしいのですが、発足にあたり当時は特にさまざまな個性のダンサーを集めていたようです。容姿のバランス、多彩な国籍の融合、踊りの質と地に、引き出されていくであろう資質を持つ人もいる。『Shakespeare Dreams』の第1キャストとして男性パートを踊り、現在はカンパニーでも振付けを任されるようになったイタリア出身のアレッシオは発足時の公開オーディションで選ばれたひとり。私と彼を含め、3人が発足時から在籍している古株メンバーになります。
立ち上げ公演の反応はいかがでしたか?
竹内>当時レーゲンスブルクは芸術監督と支配人が替わったりと、全ての部署が大きく変化していた時期。体勢が変わる前のカンパニーがクラッシック要素の強い作品を上演していたので、新しい方向性・スタイルが受け入れられるかどうかという挑戦でもあったと思います。けれど実際に幕が開けたらすごく盛り上がったし、みんな満足していましたね。
立ち上げのプロダクションはトリプルビルで、優貴さんの新作と、もう一作は彼の師匠のシュテファン・トスのレパートリー。どちらも体力勝負な作品で、勢いがあって、お客さんはそういうところも喜んでくれたようです。真っさらなところからのスタートだったので、私たちダンサーもすごくワクワクしていました。
立ち上げから5年間に渡りカンパニーの変遷を見てきました。現在のカンパニーの状態をどう感じますか?
竹内>今回のシーズンから新たに4人の新人が加わりました。10名いるダンサーのうち一番年少が21歳で、一番上が38歳。年齢的にはかなり幅広いけど、雰囲気はとてもいいと思います。新人はみんな素直な人たちばかりで、“優貴から学びたい!”“優貴の作品を踊りたい!”という想いが伝わってきます。若い子たちのエネルギーいっぱいな姿を見ていると、私もすごくうれしくなっちゃいます。
一番の古株として、森優貴ワールドを最も受け継いでいるひとりですね。
竹内>そう言ってくれる同僚もいて、“春美ならわかるよね?”といろいろ聞いてくれることもあるし、“春美がそう言うならそうなんだね”と信頼してくれることもある。自分で自覚しているよりも、周りはそう思ってくれているのかもしれません。でも私より入団して日は浅くても、レーゲンスブルクに来るまでに他のカンパニーで経験を積んできているメンバーもいる。天狗になることはないようにしよう、常にオープンでいようというのはいつも心がけています。
日本人的な謙虚さは美徳でありつつ、異国の地でダンサーとして生き抜く上では時に弱みにもなるのでは?
竹内>確かにそれはあります。入団した当初は自分が周りのダンサーより劣っていると思っていたので、ひたすら人に合わせている感じでした。とにかくイエスマンで、“ハイ、ハイ”ばかり言っていましたね。
だけど、最近はだいぶマシになってきたと思います。以前は言えなかったけど、最近は違うなと思うことはきちんと口に出して言えるようになってきた。もちろん学ぶべきことは誰からでも学ぶという気持ちは持ち続けたいし、そこは忘れないようにしなければなりません。