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湯浅永麻『enchaîne』インタビュー!

元NDTの湯浅永麻さんが、この春東京で振付・演出・出演最新作『enchaîne』を上演! 東京・六本木の国際文化会館を会場にサイトスペシフィックな作品を繰り広げ、その世界観を披露します。開幕に先駆け、湯浅さんにインタビュー! 作品に込めた想い、そしてご自身の活動についてお聞きしました。

今後の予定をお聞かせください。

湯浅>『プルートゥ』の東京公演が終わると、イギリス・オランダ・ベルギーの3都市を巡るヨーロッパツアーがあり、また日本に戻って3月中旬まで大阪公演が続きます。その間に『enchaîne』を上演し、春はヒューストンのダンスサラダというフェスティバルで上演するエックの『Juliet&Romeo』の抜粋版に出演します。GWに向井山朋子さんの『HOME』の再演が高知であり、6月には向井山さんと山田うんさんのプロジェクトに出演させていただく予定です。

またOptoの公演が年末にあって、ソロをつくらせていただきます。今回は桐生ではなく、さいたまと愛知で上演する予定。海外での活動としては、ラルビのオペラの再演がアントワープであり、そこに出演する予定です。

 

enchaîne

『enchaîne』映像より (C)Ema Yuasa

 

多忙な日々が続きますが、気分転換法、インプットはどのようにされているのでしょう。

湯浅>いろいろな人とのご縁があって、存在も知らなかった演劇に誘っていただいたり、知らなかった監督の映画を観に行ったり……。東京には観たいものがいっぱいあって、あまりじっとしていることはないですね。NDT時代はオランダのハーグという田舎町で暮らしていたので、やっぱり東京ってすごい街だなって思います。リハーサルが終わって、家に帰ってご飯をつくって、翌日また公演で踊ってーー、という規則正しいオランダの生活も楽しかったけど、やっぱり辞めてよかったです。いろいろな人と会うことで世界がぐんと広がりました。

全然違う世界の人と関わりあって、そこで興味を持ったものを知る。知らない世界のはずなのに、でも妙に繋がっていたりすることも多くて、すごく面白いなと思います。enchaîneにはen(縁)chaîne(鎖)と言葉遊びのようにかけてもいて、この公演のお話をいただいたのもそうだし、関わってくださるクリエイティブメンバーも縁や鎖があって繋がることができた。その人たちと縁を深めていったり、縁から派生したものを観ること、それがインプットになっているかもしれません。

 

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『enchaîne』映像より (C)Ema Yuasa


世界各地で活躍されていますが、今現在拠点としている場所とは?

湯浅>一応オランダに家があります。でもオランダにいる時間はほぼないので、シェアということで貸しています。NDTを辞めてからずっとトランク生活ですね。去年は年明けすぐにオランダで仕事が二件あったので正味二ヶ月オランダにいましたが、それ以外は衣替えに帰っている状態です。拠点が二ヶ月、三ヶ月のスパンで変わる、根無し草みたいな感じ。どこが本当の家なんでしょうね(笑)。

2016年にさいたまトリエンナーレで上演された『HOME』に出演しましたが、“『HOME』に出ているけれど自分はホームレスだな”と思ってみたり(笑)。今は『プルートゥ』があるので東京住まいで、日本に長く滞在できてすごくうれしいです。いろいろなところに行って、ここが自分の帰る場所だという感覚はないけれど、同時に愛着心も生まれてくる、何だか不思議な感覚です。

 

湯浅永麻

向井山朋子『HOME』(C) 遠藤豊


今後の方向性、力を入れていきたいこととは? 

湯浅>さまざまな人に会って生まれる縁があり、それが深まっていったり、細まったり、絡まったり、千切れたり、ときには別れもある。縁というのは本当に大切なものだなと思っていて、また実際に触れ合うことで真の縁が繋がるんだなと感じています。最近はスマートフォンで見て聞いて“こういうものなんだ”と知ったつもりになりがちですよね。例えば人種差別だったり、国に対する先入観にしてもそう。その仮想の縁や鎖みたいなものを一回取り払い、体験として見て聞いて感じていく、どういうものが本質なのか見てみたいと考えています。

海外でいろいろな人と出会い、彼らとの違いを知ることにより得たものをどうやったら少しでもシェアできるのか。共感というとおこがましいかもしれないけど、私が見聞きしてきたことを“こういうものもありました”と伝えていきたい。日々を生きていく中で、いろいろな人と関わり、彼らとどうやったら争わずにいられるのか、どういう風に共存していくのか。私もまだ全然わかってないけれど、その手がかりみたいなものを伝えることが舞台芸術の意味なのかもしれないと……。

でもダンスのお客さまって限られるじゃないですか。日本だけでなくヨーロッパでもやはりそう。だからどういう風に浸透させていけるのかな、というのは考える部分でもあります。ダンスは言葉がない分イメージであり抽象的になるけれど、それを融合させたものだったり、パフォーマンスで何かを伝え、たくさんの人に観ていただくことで、いろいろな人とシェアしていきたい。

今の自分にとって大切なのは、もっといろいろな経験を重ねていくことだと思う。いろいろな方とお会いすることで全然知らなかったことやものに気づかされ、そこから広がってくことが本当に多くて。出会う人たちから情報を得て、広がっていき、それをダンスや演劇などジャンルにとらわれずにパフォーマンスを通して共有していけたら。そのために舞台に立ちたいという気持ちでいます。

 

湯浅永麻

『enchaîne』映像より (C)Ema Yuasa

 

 

 

-コンテンポラリー