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久保綋一『海賊』インタビュー!

久保綋一芸術監督率いるNBAバレエ団が、この春新制作『海賊』を発表! 音楽に作曲家の新垣隆氏を迎え、シナリオも新たにかつてない『海賊』をお披露目します。開幕に先駆け、久保さんにインタビュー。創作の経緯と作品への想いをお聞きしました。

2012年の芸術監督就任以来、バレエ団の変革を続けてきました。手応えをどのように感じていますか? 

久保>就任時に“ダンサーによりよい環境を”、そして“グローバルスタンダードに”という目標を掲げていて、そこは今もブレていない部分です。だけどあれからいろいろな人と出会ったり、ビジネスの勉強をするようになって、少しずつ変わってはきています。

バレエ団の組織については、もっと分業制にすべきだと思っていて。例えば映画にしても、監督がいて、脚本家がいて、プロデューサーがいてと、それぞれのスペシャリストがいて、彼らが集結するから素晴らしい作品ができている。ひとりが全部担うなんてどだい無理な話で、全ての才能を持ち合わせている人なんてめったにいませんよね。

 

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よく芸術監督って振付家がなるじゃないですか。でも振付だったら創作できる人に任せて、芸術監督は自身の仕事に専念した方がいいと思う。クリエイティブな仕事もいいけれど、芸術監督にしかできないことは何かというと、カンパニーの先行きを決めること。これは他の人間にはできないことだから、自分がやるしかない。

当初は芸術監督というのが何を求められていて、何をしなければいけないかということがよくわかっていなかった。僕自身もともとそういう訓練を受けていなかったから何年か時間がかかったけれど、ようやく芸術監督が何をしなければいけないのかということがわかってきた気がします。最終的な目的というのは実は最終ではなくて、もっとその先があるんだと思うようになりました。

 

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今後の野望はというと?

久保>将来的には、日本が誇れるバレエ団として海外にも発信していきたい。日本人ダンサーにがんばってもらって、日本を元気にしたい。当初はダンサーにきちんと給料を払いたい、ノルマをなくしたいというのが大きな目標だったけど、バレエ界以外の人たちの話をいろいろ聞いて、いかに自分の視野が狭かったか思い知らされました。目指したいのはアメリカでありヨーロッパであり、世界を視野にしていきたい。どうせやるならそこまで高く目標を持たなければ、という気持ちでいます。

とはいえパリで『白鳥の湖』を上演しますといっても、多分お客さんは来てくれないでしょう。我々が勝負できるものは何かというと、日本の文化もそうだし、『死と乙女』のような日本と海外の文化の融合があってもいいと思う。小さな作品でもいいから、海外で“すごいね!”と言われるようなカンパニーにしたい。

なおかつ国内においては海外と同様の待遇をダンサーに提供したい。リスクはあるけど、超えるためにリスクはある。リスクなきチャンスはない。壮大な計画を立てていて、一方で時間はどんどん過ぎていくから、とにかく行動あるのみだと思っています。

 

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