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佐多達枝『カルミナ・ブラーナ』インタビュー!

1995年に初演を迎えたO.F.C.の合唱舞踊劇『カルミナ・ブラーナ』。ダンスと歌唱、そしてオーケストラで描かれるダイナミックなステージは大きな反響を呼び、以来8度に渡り上演を繰り返してきました。そしてこの夏、待望の再演が決定。開幕を前に、芸術監督を務める佐多達枝さんにインタビュー! 作品へ寄せる想いをお聞きしました。

5年ぶり・9度目の上演を迎えるO.F.C.合唱舞踊劇『カルミナ・ブラーナ』。キャストには、酒井はな、三木雄馬、浅田良和をはじめ実力派ダンサーが集結しています。

佐多>酒井さんとはこれまでもたびたび一緒に仕事をしていて、以前蝶々夫人でソロを踊ってもらったこともありました。彼女は日本人にしては珍しい華やかさを備えていて、どなたにもわかる表現力があると思います。三木さんはO.F.C.の公演に何度も出演してもらっていますが、彼は今日本一の売れっ子だと聞いています。彼らに負けず劣らず、みなさんテクニックも素晴らしいし、優秀なダンサーばかりです。

キャストは基本的に私が決めています。物語があるような作品の場合は役どころとそのダンサーの持っているイメージを合わせて考えることもありますが、『カルミナ・ブラーナ』の場合はキャラクターに性格をもたせている訳ではないので、純粋に良いダンサーを選びました。振付家によっていろいろ好みはあると思いますが、私自身がもともとバレエ出身ということもあって、基礎がきちんとできているダンサーが好きで選ぶことが多いですね。ダンサーに関していうなら、過去にご一緒したことがある方か、もし知らなければその人の舞台をまず観るようにしています。全く知らない人に出演をお願いすることはまずありません。

 

佐多達枝

 

振付家の中には人の作品は観ないという方もいますけど、私は観るのが好きなので、よく他の方の作品も観に行きます。勉強にもなりますしね。観てはしょっちゅう悪口を言っているんですけど(笑)。私は口が悪いから、ダメなものはダメとはっきり言います。舞台を観ていて“あのダンサーいいな”と何となしに思った人を、のちのち自分の作品に起用することもあります。でもそれは振付家なら誰でも同じ、みなさんそうだと思いますよ。

 

佐多達枝

 

リハーサルはどのように進めていますか?

佐多>リハーサルに入る前に、まず出演者全員に過去の公演のビデオを渡して、ご自身のシーンを見て動きを確認してもらいました。実際のリハーサルは、ダンサーと合唱の人たちそれぞれ別々に取りかかり、最終的に合わせる形です。ダンサーや合唱隊のほか、児童合唱団も加わります。子供たちにしても、みなさんバレエなりモダンダンスなりの素養があるとは限らない。だからやはりちょっと大変ですね。

合唱の方たちの中にははじめてダンスを踊るという人たちもいます。私も最初の内は、“音楽をわかっているのだから、音に合わせて動くことは当然できるだろう”と思っていたんです。ところが音楽はできても身体を動かすのはまた別なんですね。動き自体は簡単なことばかりですけど、身体を動かすということに慣れていない方にとってはそうすんなりとはいかないようです。

 

佐多達枝

 

座った状態から立つという動作自体がすでに大変な人もいて、“よっこらしょ”と言わないと立ち上がれなかったりする。音楽に合わせてリズムを取ることを第一に考えていますが、イチのリズムでイチを取れないような人もいて。イチの音で立たないといけないのに、イチからはじまり、ニの、サンの……と、ようやく立ち上がった時にはすっかり音に遅れていたりするんです。

バレエを踊れと言っている訳ではないし、それほど難しいことではないのですが、私も全く動いたことのない人に振付けるというのは経験がなかったので、最初の頃は“どうしてこうも動けないのか?”と戸惑いました(笑)。でもしょうがないですよね。彼らにしてみれば、きっと“私たちは踊ったことなんてないんだからしょうがないでしょう”という言葉が返ってくるでしょう。

あとはもう基礎練習をしたり、何度も繰り返し練習するしかない。基礎練習といってもダンサーが踊るのとは違いますから、多少ストレッチをするくらい。ただ合唱の人たちの中にはバレエの稽古に通っている人もいて、積極的に動こうという方もいます。そうした人が他の合唱の人たちを引っ張っていってくれている感じはありますね。

 

佐多達枝

 

 

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