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映像芝居『錆からでた実』インタビュー!

2013年に初演を迎え、第8回日本ダンスフォーラム賞を受賞するなど大好評を博した『錆からでた実』。束芋×森下真樹という異色のタッグで注目を集めた話題作が、この夏3度目の再演を果たします。ここでは、構成・演出・美術を手がける束芋さん、振付の森下真樹さん、ダンサーとして出演する鈴木美奈子さんの3者にインタビュー! 作品への想いと再演にかける意気込みをお聞きしました。

生年月日、血液型、三姉妹の構成、出生地……。束芋さんと森下さん、共通点が多いおふたりの出会いを発端にスタートした『錆からでた実』。付き合いが深まるにつれ、さらなる共通点を発見した部分はありましたか?

束芋>第一弾・第二弾と続けていくうちに、私の表面に出ているものを森下さんは内側に持っていて、森下さんの表面にあるものを私は内側に持っているようなイメージを持つようになりました。それをこの構成に生かせないかと考えたとき、森下さんは表側で、美奈子さんは裏方、私も裏方、ミュージシャンのふたりも裏方だったものが、表裏の構成が逆転するような形になった。もともとは偶然なんですけど、今回ふたりの内外の構成が影響されているように感じるし、私にとってそれはすごく重要な意味を持っているんです。

森下>束芋さんから“私の外側が森下さんの内側で……”と言われたときは“何のこっちゃ?”と思ったけれど、最近はわかるような気がします。私は意外とシンプルじゃないんです。もっとシンプルにいられたらいいけれど、特につくることにおいては結構渦巻いてるものがあって、それを指摘されたような気がして。メールひとつにしても私はくどくど書いてしまうけど、束芋さんは“これはナシでいんじゃない?”という感じで、ばさり、ばさり、とシンプルにしてくれるんです。

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束芋>私は“これはダメだ”と思ったら切り捨てるタイプだけど、森下さんは“これはダメだ”と思ってもトライしていく。第一弾・第二弾のときもそうで、ダンサーたちの個性を見ていて、私はこのメンバーでやっていくのは難しいのではと思ったし、私だったらたぶん途中で諦めていたと思う。でも森下さんは諦めなかった。諦めなかったことがあの作品になったわけだし、その姿勢はいいものを生み出す上でとても大切だけど、私のやり方ではないんです。私はいいものをもっと追う形でしかできないし、いるかどうかわからないものだったら切り捨てた方がいいと思う。今回もそういう判断をしています。

森下>でも束芋さんは、さらに面白い展開になるのであれば……と、動きの変化をどっしりと待ち構えてくれているようなところもありますよね。

束芋>その先にもっと面白いものを提示してくれるなら、やるしかないと思うから。こういうコラボレーションはお互い覚悟しなければいけないと思う。私の場合はつくったものに変化が起こるかもしれないし、森下さんはつくっても切られるかもしれない。大変ではあるけれど、こんな作業をすることは今後もうないだろうし、これが終わってしまうのが寂しくて……。

鈴木>私もです。ここ数年ずっと真樹さんと共演したり振付助手をしたりという時間が続いてて。もうすぐ本番だというときに次にまた一緒にやる予定がない状態は今までなかったから、これが終わったらしばらく会えないかも……と思うと本当に寂しいです。

©igaki photo studio

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第三弾まできたら次もあるのでは?

束芋>私は覚悟を決めなければと思っています。みんなそれぞれ次へ羽ばたく準備ができてる。今回の形で完成なのかなという気はしています。

鈴木>みんなで笑って終わりたいですね。

森下>美奈子は絶対泣いてるね(笑)。

鈴木>第一弾・第二弾では私は客席で観ていたけれど、今回は束芋さんが一番特等席で本番を観るじゃないですか。そこで束芋さんが感動して泣いてくれたらいいなって思ってます。

森下>私が一番感動して泣いてたりして……。まぁ、今回が一区切りではありますが、再演のお話などありましたら喜んでお受けするつもり(笑)。そのためにも今はこの完成を目指したいと思います。

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