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NBAバレエ団『リトルマーメイド』リン・テイラー・コーベット インタビュー!

NBAバレエ団でこの秋日本初演を迎える『リトルマーメイド』。リン・テイラー・コーベット振付により2012年にアメリカで初演された話題作が、待望の日本上陸を叶えます。開幕に先駆け、リハーサルのため来日中のリンさんにインタビュー。さらに、芸術監督の久保紘一さんに、本作に対する意気込みをお聞きしました。

リン・テイラー・コーベット インタビュー

 

キャロライナ・バレエで2012年に初演を迎え、大好評を博した『リトルマーメイド』。世界中で愛され、これまで映画化やミュージカル化もされてきたこのお馴染みの物語をバレエ化しようと考えたのは何故でしょう。

リン>『リトルマーメイド』で描かれているのは、ひとりの少女が成長していく物語です。マーメイドが王子さまを助け、想いを遂げるために自身の力で道を切り開いていく。ひとりのか弱い女性が欲しいものを手に入れるためにどんどんパワフルになり、自ら成功を掴み取る。そうした少女の姿をお客さまにお見せすることが重要だと感じ、バレエ化しようと考えました。

『リトルマーメイド』というとディズニー作品が一般的にはよく知られていますが、あちらはアンデルセンの原作とはまた違ったものになっています。私はアンデルセンの原作を読み、そこから得た着想をもとに構成し、音楽と踊りをつくってバレエ作品にしています。

 

リン・テイラー・コーベット

 

楽曲もオリジナルでつくられたそうですね。

リン>バレエ化するにあたり、作曲家のマイケル・モーリッツが新たに音楽をつくってくれました。何か新しい作品をつくるときはいつも音楽家に作曲をお願いしていますが、なかでもマイケルとはこれまで3作のバレエ作品を一緒につくっていて、かれこれ15年来の付き合いになります。

振付けと作曲は別々に行っていて、マイケルとは電話やEメール、ビデオメッセージで主にやりとりをしていました。まず私がダンサーに振付けをし、その動きをビデオに収めては一回一回マイケルに送り、それに彼が音楽を付け、マイケルからデモテープが送られてきてーー、という流れです。楽曲の完成まで8週間ほどかかったでしょうか。私の方からマイケルにいろいろ細かくリクエストもしていて、この位の長さで、こういう感じの音楽で、こんな風につくってくれと、具体的にイメージを伝えています。

音楽のほかナレーションと歌もあり、キャロライナ・バレエで上演したときはブロードウェイ・ミュージカル『ウィキッド』の主演を務めたこともあるアメリカの有名な歌手が歌っています。ダンサーが歌を歌っているかのように演出してはいますが、実際のところ彼女は歌いません。いわゆる口パクですね(笑)。苦労したのは、音楽と動きを一致させること。お芝居やミュージカルと違ってバレエは声が出せないので、ナレーションや歌と踊りを一体化させるのが大変でした。

 

リン・テイラー・コーベット

 

ミュージカルの印象が強い本作ですが、バレエ作品として成立させるためにこだわった部分はありますか?

リン>バレエを基本にしてはいますが、音楽や歌、演技もあるので、確かに普通のバレエ作品とは違うつくりになっています。バレエの要素もミュージカルの要素も含まれていて、どちらとは言えません。ただ私が一番大事にしたのは、小さい子どもから大人まで楽しめる作品にすること。幅広い世代に観てもらえるバレエをつくるということでした。

 

リン・テイラー・コーベット

 

 

-コンテンポラリー