『あいちトリエンナーレ2016』出演! イスラエル・ガルバン インタビュー!
Q:フラメンコの世界を飛び出し、コンテンポラリーの世界に進出しようと思ったきっかけは何だったのでしょう。
ガルバン>実際には、フラメンコを抜け出しコンテンポラリーダンスの世界に入ろう、という明確な意図があったわけではありません。最初のうちは踊りが現代的過ぎると言われましたが、その着想は昨今の一般大衆からは忘れ去られている非常に伝統的で純粋なフラメンコダンサーから得ているのです。実際のところ、それがダンスと私を最初に結びつけているものであり、矛盾して映るかもしれませんが、フラメンコ自体よりも強い結びつきなのです。踊り手というのは、それぞれ固有な身体言語を身につけています。フラメンコのエネルギーは、私に動きの自由を与えてくれます。実際には厳しい規律があるのですが、多くの人が「現代的」と感じる私の動きはそこから生まれているのです。いずれにせよ、いくらダンスのように見えても、私の動きと姿勢はフラメンコのものです。要するに、私は常にとても自由にフラメンコを踊っているだけなのですが、それがコンテンポラリーダンスとみなされているのです。
Q:コンテンポラリーのダンサーや振付家で影響を受けた人はいますか?
ガルバン>フラメンコ以外の直接の影響というと舞踏で、竹之内淳志にも感化されました。ウィリアム・フォーサイスや大野一雄のようなダンスの大家だけでなく、マイケル・ジャクソンや信号機に映る人形からさえもインスピレーションを受けたと思います。
Q:コンテンポラリーの世界で注目を集めることで、フラメンコ界で周囲の軋轢を感じることはないですか?
ガルバン>ダンスの世界では、私はフラメンコを踊っているということになっています。フラメンコ関係者によると、彼らが思う「伝統的」踊りを私がしないので、そこに葛藤が生じているようです。(フラメンコまたはダンスの)フェスティバルや舞台で踊るとき、私はありのままの自分で、感じるままに踊ります。なにかこれといった文脈に合わせるということはしません。
Q:身体的訓練について、普段どのようなことを行っているのでしょう? コンテンポラリーの訓練で何か特化されていることはありますか? クラシックバレエの稽古もされているようですが、身体性について大切にしていることは何でしょう。
ガルバン>最近はよくスポーツジムに通っています。純粋に身体を鍛えるために、フィットネスマシーンやフィットネスバイクを使ったり、跳躍をしたりしています。あとバレエのバーレッスンをまたやるようになったのですが、とても効果があり集中力も高めてくれます。それでも結局は、フラメンコに基礎を置いています。何か具体的なメソッドがあり、それに固執していることもありません。トレーニング自体はいつも規律通りというわけではないのですが、とても根気よく継続的に行っています。
Q:日本にはフラメンコの公演でたびたび来日されています。初来日の記憶、想い出深いエピソードなどありましたらお聞かせください。
ガルバン>15歳の初来日は、全てが新しい体験でした。少し意外に思われるようなことを覚えています。マクドナルド、マリオブラザーズ、ドラゴンボールの漫画、それらを初めて発見し体験したので、初来日の旅には非常に愛着があります。しかし、日本が大野一雄を観ることができるお伽の国のような場所であったのも非常に重要なことです。その瞬間からあなた方の国を親近感の湧くコミュニティだと感じはじめたのです。それに、日本人の間で素晴らしいフラメンコがあることも発見しました。
Q:今回の日本滞在時にはワークショップも行います。スペインに次ぎフラメンコ熱が高いといわれる日本ですが、そこで伝えたいものとは?
ガルバン>一番伝えたいのは、フラメンコも舞踏も、全てダンスであり踊りであるということです。それらは人を感動させ、顔の動きのみでも踊ることができます。あらゆるものが踊りなのです。フラメンコのリズムの豊かさを通して、参加者にそのエネルギーの種を植え付けることができればと思います。
Q:最後に、日本の観客にメッセージをお願いします。
ガルバン>日本には大変親しみを感じています。情熱と喜びに溢れたフラメンコの祝祭をぜひご覧下さい!