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KENTARO!! 『前と後ろと誰かとえん』インタビュー!

東京ELECTROCK STAIRS率いるKENTARO!!さんが、ダンスの祭典Dance New Air 2016に登場。KENTARO!!さん振付による世界初演作『前と後ろと誰かとえん』を発表します。10月の開幕を前に、創作にあたるKENTARO!!さんに作品についての想いをお聞きしました。

小尻さんとの共演作『テラスキニ』は大きな評判を集めました。

KENTARO!!>あまり周りの評判を聞くことはないので、自分ではよくわからないんですよね。最近はアンケートもあまり読まないですし。批判されてもそこそこ嫌な気持ちになるし、褒められても逆の人もいるだろうなって思っちゃう。ひねくれてるんです(笑)。もちろん褒められたら励みにはなるけど、錯覚するじゃないですか。

知り合いのダンサーのなかにはアンケートをしっかり読んで、その上で意見を取り入れている人もいます。心が強いんでしょうね。僕は弱いというか、メンタルが揺らぐんです。合ってなかったのかなって悩んだり、そういう意見もあるのかと考えて、その通りに変えてみたらやっぱりよくなかったということも実際にあった。そもそもそれほどウケるものをつくってるとは考えてなくて、100人観たら半分はつまらないなって感じてるだろうなと思っています。わかりやすくするのは簡単だけど、わかりやすくしていないから。これは演劇でも、音楽でもそうですね。

 

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周りの評価や意見は気にせず、ひたすら自分を信じていくと?

KENTARO!!>でも自分のこともそれほど信用してはいないんです。そもそも面白いと感じるモチベーションが自分のなかにあまりなくて、そこが僕の欠如しているところかもしれません。いろいろなものを観たり本を読んだりして、面白いものがあったときにインプットすることはあります。本を読んですごいなと感じるものがあったら、何がすごいんだろうと考えて、自分の作品に足りないものを探してみる。自分の世界だけではつくれないので、生活のなかで感じたりしたものをふるいにかけていくような作業です。作品づくりにしても、最初からコレだというものはなくて、いろいろ変えつつ探していきます。ただ振付は一回つくって渡したらあまり変えることはない。最初に渡す振りが妥協したレベルであれば、難しく修正はしても簡単にすることはないですね。

 

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KENTARO!!さんのクリエイションスタイルとは?

KENTARO!!>いつもその場でつくります。振りを前もって用意しておことはまずなくて、こういう雰囲気にしようという世界観だけ漠然とあり、あとは稽古しながらつくる感じ。構成も最初は考えてなくて、ばらばらにつくったものを後で組み立てていきます。僕が考えてる最中にみんながそれぞれ練習をしています。だから僕のリハーサルは基本的に休憩はなし。

今でもダンススタジオでヒップホップを教えているんですけど、レッスンでもあらかじめ振りをつくっておくことはないですね。その場でつくった振りを渡して、みんなが覚えて、教えながら次の振りを考えて、どんどんカウントを増やしていく。振りを瞬時に覚えるのは中学生の頃からできていたので、たぶんそれが僕の一番の才能だと思う。簡単な振りなら二回見ればだいたい忠実に踊れるから。コンテンポラリー・ダンスの作品を観ていると、“これ三日でつくれるな”とか、“三日でこの人たちより上手く踊れるな”と思うこともたまにあります。でも僕だけじゃなくて、みんなそれくらい思ってるんじゃないかなって気がしますけど。

最近は難しい振りができたら僕が踊ってみせて、その様子をみんなにスマートフォンで撮ってもらいます。スマートフォンは本当に便利で助かってますね。即興をその場で踊って渡すこともあるので、自分でもどんな振りをつくったか覚えてなかったりする。即興の場合は二回踊るとまた違うものになるから、まず無音で踊ったものを撮り、振りを起こしてきてもらいます。それはスマートフォンがないと簡易的にはできない作業で、昔は即興を振り写しすることはできなかったし、だからすごく幅が広がりました。スマートフォンで撮れば記録もできて、それをもとにみんながそれぞれ家で練習すれば正確に振りが覚えられる。でも実をいうと僕自身はスマートフォンを持ってなくて、いまだにガラケー。人には撮ってもらうけど、僕自身は撮れないんです(笑)。

 

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-コンテンポラリー