『Clementia』川崎悦子×大貫勇輔インタビュー!
前回で培ったものを踏まえ、クリエイションに向かう今の心境は?
川崎>まだ不安だらけです。前回は何もない状態で、本当にみなさん“何をやるんだろう”という感じだったと思うんです。でも今回は去年の映像をキャストの方々に観ていただいているので、その分ちょっとラクになっている部分はあります。ただ前回である程度叩き台ができた分、あれを超えるものがつくれるのだろうかという別のプレッシャーがありますね。もっとすごいものを観たいという期待に対する怖さ、またそれをやり遂げたいという気持ちも持っています。
大貫>前回作中で“白波五人男”をやらせてもらいましたけど、あのシーンは特に印象に残っています。藤原道山さんなんて喋るのがすごく苦手なのに一生懸命台詞を言っていて、それに合わせて僕らが後ろでかけ声をかけて盛り上げたり。演じるというよりは、みんな遊びながら本気で取り組んでた。その感じが何だか男の青春時代を思い出させるようで、いい時間を過ごせたなという気がしています。今回もまたそうなれたらいいですよね。
川崎>そうですね。男たちがたわむれながら楽しんでいて、それをお客さまが微笑ましく観ているような感じ。ああいう要素は大事だし、やはり遊びの部分は入れたいですね。すごく芸術性の高いものをというよりは、ちょっとクスッという笑いが好きなので、そこは外せないと思います。今回は二幕仕立てで、二幕の方はオムニバスになる予定です。そこでそれぞれのスペシャルなものを出していけたらと考えています。
大貫>僕は沢山踊りたいです。沢山喋って沢山踊りたい。二幕は特にストーリーがメインという訳ではなくて、セッションというか、それぞれのぶつかり合いのようなものになると思うので、そこで自分らしい踊りをやっていきたいです。
川崎>ということで、勇輔くんの踊りが沢山観られます(笑)。
大貫>去年は特にそうでしたけど、しばらく役者のお仕事が重なって、どちらかというとお芝居モードになっていたんです。ただここ最近は6月の『FLAMENCO CAFÉ DEL GATO』、10月の『梅棒6th OPUS GLOVER』とダンス作品が続いて、やっと少しずつダンサーの身体になってきている感じがします。去年の公演時は役者の身体でも踊りはできると思っていたけど、改めてそれはできないなと気付かされました。やはりダンサーにしかできない表現というのがある。だからダンサーのトレーニングを続けないと、それができなくなってしまう。役者にしかできない表現は役者の身体のままでもできるけど、ダンサーにしかできない表現は身体をトレーニングし続けないとできないんです。だから今はそこに持って行くようにトレーニングをしています。
特に力を入れているのがバレエとストレッチ。バレエのレッスンは毎日やっています。やっぱり毎日やると身体のコントロールが全然違いますね。自分自身それに驚いてます。あと食事制限をしています。全体のカロリーを抑えつつ、夜は炭水化物抜き。『マシュー・ボーンのドリアン・グレイ』のときは役作りのために一番筋トレをやっていて、体重も今より3キロくらいマイナスでした。今は筋トレは辞めていますが、体重はここからあと3キロ減らしたいですね。
川崎>勇輔くんはいつもすごく前向きで、転んでもタダで起きるような人じゃない。何かあれば模索して、またひとつ違う道を見つけてくれる人。だから不安もなんでしょうね。
大貫>僕だって不安になることも意外とあるんですよ(笑)。ただ今回はキャストもみんなソロでずっとやってきている人たちだから、言ってしまえば単純にそれぞれのスペシャルをお見せすれば十分楽しい公演になる訳じゃないですか。そこに悦子先生が魔法をかけてくれれば、絶対に面白くなるはず。だから変に不安になる必要はないだろうなと思ってるんです。
川崎>どう転ぶかは本当にやってみないとわからないけど、やっぱり絶対に楽しいものにしたい。その気持ちさえブレなければ、あとはキャストの人たちがみんなで助けてくれるのではないかと私も期待しています。