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大駱駝艦舞踏公演 村松卓矢『バカ』インタビュー!

大駱駝艦メンバーの最古参、村松卓矢さんが壺中天で新作『バカ』を発表! 村松さんが壺中天で自作を披露するのは実に3年ぶりのこと。作品の構想と本作にかける想い、そして舞踏家として歩んできたこれまでの月日と今後の展望をお聞きしました。

みなさんのやりたいことをどうジャッジし、どう作品に取り入れていくのでしょう?

村松>ジャッジは基本的にしていません。振りとして“その踊りはもっと伸ばした方がいい”と言うようなことはありますが、“それはやらないでくれ”と言うのは自分の考えとしてはちょっとおかしいし、何が起こってもいい、何でも面白くなるんじゃないか、ということをやってみたかったんです。それを全部つなげて『バカ』というくくりに入れていかなくてはいけないので、そこはちょっと苦労していますけど。いつも創作には一ヶ月くらいかけていますが、今回はリハーサルが思ったより進まず、ちょっと焦り気味ではあります。でもやっぱり新しいことをするのは楽しいですね。

もちろん不安はあります。むしろ不安がないと面白くないですよね。そういう意味では、以前やったことをもう一度やったらたぶん失敗するだろうなとは思っています。これをやれば前回と同じようなクオリティが出るだろうと考えていると、やはりパワーダウンしてしまうんです。安心してつくったものって観る人にもたぶんわかってしまうだろうし、余裕をもってつくった雰囲気というのは伝わると思っていて。実際それが作品からにじみ出てきたとき、お客さんに面白いと感じてもらえないのではと、そういうことってやっぱりあると思うんです。

 

2013年『穴』(C)松田純一

2013年『穴』(C)松田純一

これまで何作発表してきましたか?  壺中天で作品を創作する醍醐味とは?

村松>これまで発表したのは、1999年の『オバケ戯族』が最初で、『うしろのしょうめん』(2001)、『どぶ』(2007)、『ソンナ時コソ笑ッテロ』(2008)、『穴』(2009)、『忘れろ、思い出せ』の6作です。自分たちの空間なので、舞台をつくり込むところから始められることが壺中天の良さです。劇場を借りる場合はここまでできないですよね。他所で上演するときは事前になんとなくイメージしておいて、小屋に入ってからそれを現場で組み立てていくけど、壺中天なら早い段階から照明やセットもつくり込めるし、実際にそれがどうなるか確かめられる。美術も自分たちでつくっていますが、美術大学出身のメンバーや、舞台の設営に詳しいメンバーがいるので、それなりのものができますよね。

 

2013年『穴』(C)松田純一

2013年『穴』(C)松田純一

本番の約一週間前に麿さんの前で作品を披露する恒例の“総見”を行います。

村松>僕にとって麿さんは作品を観てもらう上で理想の人ですから緊張します。もちろん誰に観ていただいても緊張はします。お客さまや評論家たちの中には自分より踊りについて知っている、面白い目や厳しい目、さまざまな視点で観てくれる人はたくさんいます。それらを全部含めて麿さんには圧倒的な信頼感があって、そういう方に観てもらえるのはすごく嬉しいですよね。

 

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