『ルグリ・ガラ』出演、ワディム・ムンタギロフ インタビュー!
現在は英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとして、ロンドンを拠点に活躍されています。
ムンタギロフ>ロンドンでもやはり毎日リハーサル続きで、ひとつの公演のリハーサルを一日中していることもありますし、1〜2時間くらいリハーサルをして後は客演の練習をすることもあります。4月はすごく忙しくて、『ジュエルズ』のダイヤモンドを踊り、そのほかにいくつかのガラを踊り、ウィリアム・フォーサイスの『精密の不安定なスリル』を踊りました。ダイヤモンドは僕にとっての初めての役で、やはり新しい作品に取りかかるときは練習に時間がかかります。
自分の出演作のほかに誰かがケガをすればかわりに舞台に立つこともあるし、ときには一日に三演目を踊るようなこともあります。なのでたいてい当初の予定より出演回数はプラスされることが多いですね。ハードスケジュールではありますが、忙しさに身体が慣れてしまったのか、あまり自分で自分を痛めつけている感覚はありません。たぶんロンドンで非常に忙しい時間を過ごしているので、客演で海外を飛び回っていても、身体があまり驚かないようになっているんだと思います(笑)。
もちろんリハーサルはとても大変で、辛いなと感じることもときにはあります。リハーサルをすべきか、いっそのこと休んでしまおうか……。“yes?, no?”と自問自答を繰り返しつつ、最終的には自分で自分の背中を押してリハーサルに向かいます。だけどいざバレエ・マスターとの稽古がはじまるとやはりとても楽しいし、公演があればモチベーションも上がります。またステージではお客さまから拍手をいただくという喜びがあります。ヴァリエーションが上手くいったときはみなさんに幸せを届けることができ、僕自身も幸せになれる。そこでまた“頑張ろう!”という気持ちになります。
プリンシパルともなると常に高いクオリティが求められます。プレッシャーも大変なものがあるのでは?
ムンタギロフ>ダンサーは歳を重ねるとどんどん自分で自分にプレッシャーを課してしまうというけれど、僕はまだそこまで考えないようにしています。ガラや客演が控えていたりといつも何かしら新しい挑戦があるのでプレッシャーは常に感じているし、ある意味全てがプレッシャーです。不安もたくさんあるけれど、あまりプレッシャーにとらわれすぎないようにしたいと思っています。
もちろんそれは簡単なことではありません。ただ怖がってばかりいてはここまでリハーサルを積んできた意味がないし、できれば自分を苦しめずにステージへ向かいたい。転んでも何が起きてもいいから、とにかく舞台を楽しみたいと考えています。もちろんこの『ルグリ・ガラ』もそう。お客さまに楽しんでいただき、自分自身も精一杯楽しみたいと思っています。