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大貫勇輔×栗山廉『ビリー・エリオット』インタビュー!

この秋日本初演を迎える大型ミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』で、オールダー・ビリー役を演じるコンテンポラリーダンサーの大貫勇輔さんとKバレエ カンパニーの栗山廉さん。映画ではアダム・クーパーが扮したキーパーソンを、おふたりがWキャストで演じます。大貫さんと栗山さんのおふたりに、役への意気込みと作品への想いをお聞きしました。

『ビリー・エリオット』と並行してカンパニーの活動もあり、多忙な日々が続いています。

栗山>5月と6月はKバレエ カンパニーの『海賊』が東京・大阪・香川であり、6月末には『ジゼル』があったので、ここのところ舞台がずっと続いています。今の生活は舞台がメインなので、丸一日休みがあるとすごくうれしいです。休みの日は温泉に行ったり、ちょっと近所を散歩したり、あとは家にいることが多いですね。結局休みがあっても身体のケアやリラックスのために使ってしまいます。

バレエ団の今シーズンの本公演は終わりましたが、7月末には舞台『青島広志のバレエ音楽ってステキ!』があり、9月にはバレエジェンツの札幌公演が控えています。バレエジェンツでは今回ジャズを踊るので、そちらも初めての挑戦です。10月の新作バレエ『クレオパトラ』の稽古がすでに始まっていて、新制作なので今ちょうど振付をしているところです。

『ビリー・エリオット』はトータル126回公演で、そのうち僕が出演するのは71回。短期間で同じ作品にこれだけの回数出演するのは初めての経験なので、正直言って全く想像できないですね。Kバレエ カンパニーもいろいろな作品を上演していますけど、年間を通しても100回公演というのはまずないですから。ディレクターとアダム・クーパーさんは英国ロイヤル・バレエ・スクール時代に同級生で、当時から親しくされていたと聞いています。アダムさんが舞台を観に来たり……、なんてことがあったらすごいですよね(笑)。

どうなるか想像はつかないけれど、そこまで不安は感じてません。作品の力にも助けられると思うし、もちろん身体の準備もしています。僕の場合はずっと舞台に出ている訳ではないので、短期集中の方法を探っていこうと考えています。リハーサルのときからその辺はかなり意識していて、“一回勝負だ”と思いながら毎回取り組むようにしています。そうすると上手くいくことも多くて、この感じで本番まで持っていけたらと考えています。

 

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ミュージカルのために行っている身体の準備とは?

栗山>なるべく時間を見つけて腕立てや腹筋をするようにしています。基本は腕立て20回を4セット。僕だけでなく、稽古場では炭鉱夫役の方たちもみなさん男らしさを目指して身体づくりに励んでいて、それがまたすごく刺激になっています。

僕自身もともと身体を鍛えたいという想いがあって、バレエ団でも筋トレはしていましたが、ミュージカルの稽古に入ってからかなり力を入れるようになりました。Kバレエ カンパニーの5—6月公演『海賊』のときお客さんにも気づいてもらえて、少しずつ成果が出ているのかなというのは感じています。

 

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ビリー役の子供たちはKバレエ スクールでバレエの稽古をしていますね。子役たちの様子はいかがですか?

栗山>子供たちの指導は伊坂文月さんや長島裕輔さんが担当しています。レッスンが始まったころに僕も一度クラスを見学させてもらいました。その後久しぶりに製作発表記者会見で彼らが踊る姿を見て、ものすごく上達しているので本当に驚かされました。相当集中して練習してきたんだろうな、真剣に取り組んできたんだなというのをひしひしと感じました。

僕がバレエをはじめたのは10歳の頃で、ビリー役の子たちと近い年齢です。そう考えると本当に感心します。僕はあんなに踊れていませんでしたし、しかも彼らはバレエだけではなくて、歌や芝居もこなしてる。バレエに対する意欲も非常に強くて、一度Kバレエ カンパニーの『ラ・バヤデール』を観に来てくれました。稽古終わりに“回り方を教えてください”と言われて、ピルエットのコツを教えたこともあります。僕が踊っていると目を輝かせて見てくれるので、それがまた僕自身の力にもなっています。

 

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最後に、舞台への意気込みをお聞かせください。

栗山>このすばらしい作品に参加できることが本当にうれしくて、まずは舞台を成功させたいし、絶対にいい舞台になると確信しています。炭鉱夫が出てきたりと荒々しいシーンが多いなか、オールダー・ビリーの登場する『Dream Ballet』は幻想的でもあり、バレエの力強さもあり、とてもキレイなシーンになっている。僕としてはそこでしっかりバレエの魅力をアピールしていきたいと思っています。

ミュージカルでバレエダンサーが出演する機会はあまり多くありませんので、この機会にみなさんにバレエダンサーの魅力を感じてもらえたら。舞台で僕の踊りを知ってもらって、またバレエの公演の方にも来ていただけたらとてもうれしいですね。僕自身もまた、この作品を通してダンサーとしての幅を広げていければと思っています。

 

 

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