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大貫勇輔×栗山廉『ビリー・エリオット』インタビュー!

この秋日本初演を迎える大型ミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』で、オールダー・ビリー役を演じるコンテンポラリーダンサーの大貫勇輔さんとKバレエ カンパニーの栗山廉さん。映画ではアダム・クーパーが扮したキーパーソンを、おふたりがWキャストで演じます。大貫さんと栗山さんのおふたりに、役への意気込みと作品への想いをお聞きしました。

ミュージカルのために何か身体作りはされていますか?

大貫>ずっと筋トレを続けていましたが、今はヨガ的なトレーニングに切り替えています。肉体がより良く動くために行うヨガのテクニックを使ったメソットです。最近はじめたばかりですが、かなり調子がいいので続けてみようと思っています。あと代謝を良くするために水をたっぷり飲んでいて、一日に最低3リットルから4リットルを目指しています。

そのほか肉体改造はいろいろやっていて、脚のラインと運動能力のために前腿の筋肉を使わないようにしたり、もともと前肩気味なので肩胛骨をできるだけ開くように意識したり、今までは骨盤を落として引き上げるのがいいと思っていたけど、むしろお尻は上げて腹筋を固めず肋を開いて引っ張るイメージにしたり……。今までの自分と逆の方法に実験的に取り組んでいます。

 

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全120回以上ものロングラン公演が始まります。長い公演を乗り切る秘訣とは?

大貫>先を考えないことでしょうか。一回一回の舞台を反省して、次回をより良くしようと考え続けていると、気づいたら終わっていると思います。モチベーションの維持も大丈夫です。昔は飽きやすかったけど、今はそんなこと全くないですね。ある時から意識が変わっていった気がします。

 

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舞台に立っていてやりがいを感じるのはどんな瞬間ですか?

大貫>つながった瞬間です。こうしたいと思っている感覚と肉体と精神がつながった瞬間、ビリーとつながった瞬間、お客さんとつながった瞬間、空間とつながった瞬間。そのつながりがたくさんあればあるほど幸福度が高くて、それらを同時に得られたとき最高に幸せな気持ちになります。

お客さんとのつながりというのは体感としてわかります。眺めているのではなくて、ちゃんと観てる。今すごく集中して僕のことを観てくれているな、という感覚があるんです。それを実感したのが『ロミオ&ジュリエット』で演じた死のダンサー役。あのときもロングラン公演だったので、身体にいろいろ落とし込むことができました。“人の記憶に残る瞬間ってここなんだ”とか、あれこれ試せたことが今も生きてる気がします。

『ロミオ&ジュリエット』は2011年、2013年、2017年の3回出演していますが、初演と6年後では意識も大きく変わりました。『ロミオ&ジュリエット』でひとつ大きな新しい気づきがあって、『キャバレー』で初めて大きなキャストを演じたときに責任感を感じて、マシュー・ボーンの『ドリアングレイ』で自分が座長としてソロを踊ったときにもうひとつ大きな責任感を覚えた。その間にお芝居にも出演して、“映像の人たちって顔のこんな筋肉まで使ってるんだ”といった驚きや、みなさんの作品に対する取り組み方を目の当たりにした。

いろいろなことを経験させてもらって、いろいろな失敗を経て今がある。ひとりじゃ絶対に舞台はできないんだと身体で実感したことで、周りの人たちへの感謝が身体の中に刻まれていった気がします。

 

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大貫さんが今目指すものとは?

大貫>ミュージカルスターになりたいです。キャストの冒頭に名前が載るような存在になりたいというのがわかりやすい目標としてあります。踊りに関しては自分の中で年々意識が深くなっているので、このままどんどん高まっていくと思う。だからそれ以外のところ、例えば歌とか芝居とかタップといった部分でどう努力できるか考えながら日々過ごしています。

『ビリー・エリオット』もそうだけど、ウエストエンドやブロードウェイで上演されている作品がどんどん日本に入ってきていたりと、ミュージカルの盛り上がりを感じています。これからもミュージカル作品は増えていくだろうし、踊れるミュージカル俳優の需要は高まっていくはず。踊れるミュージカルスターを目指していけたらと思っています。

 

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最後に、舞台への意気込みをお聞かせください。

大貫>自分としては全世界の中で一番良いオールダー・ビリーだったと言っていただきたいという気持ちがありますが、何よりビリーと真剣に過ごすことによって、日本版にしかない特別な『ビリー・エリオット』をつくりたい。

大人たちが一丸となって全力でビリーを支え、ビリーが輝くことによって僕たちも輝けるということを稽古を重ねるごとに感じています。心が洗われるくらい素晴らしいミュージカルなので、それをどこまで引き上げられるかというのがカンパニーの一員としての想いであり、それを念頭に置きながら日々稽古をしています。

 

 

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