井手茂太『薄い桃色のかたまり』インタビュー!
10月にはイデビアン・クルーの『肩書ジャンクション』が東京芸術劇場で初演を迎えます。どんな作品になりそうですか?
井手>イデビアン・クルーとして東京芸術劇場で公演をするのは初めてです。今回は新人も入れたので、ちょっと年齢的に若くなっていますね。イデビアン・クルーではあまりオーディションはしてないけれど、前々から気になっていた人とか、彼女が入ったとき誰と合うだろうとか、稽古場ではこういう会話を喋るんだろうなとか、いろいろ想像しながらチョイスしています。
“肩書”って何だか面白いなと思って、今回のタイトルに付けました。例えば自称占い師とか、自称シェフだけど普段は会社員だとか、もうひとつの顔を持つ人たちが集まってぎくしゃくしてたら面白そうだなと。彼らが何故かロケバスか何かに一緒に乗っている。そうなるとイヤでも一緒にいなきゃいけないし、さらにそこが高速道路だったらもう絶対に逃げられない。さらに運転手がジャンクションで道を間違えてずっとぐるぐる回っていたら面白い。“まだ着かないの?”“間違ってるよって誰が言う?”なんてやりとりがあったり……。
物語というのは特にないけれど、単純にジャンクションという画が好きで、そこで踊ってみたらどうだろうというところからのスタートです。単純な動きをしているんだけど、それって手に職を持ってる人の動きだよねということから、その人の正体がだんだんわかってきたりして。僕も出演します。僕の肩書は何でしょうね。自称演歌歌手とか、自称民謡歌手なんていいかもしれない(笑)。
子供の頃の夢は? この世界に入っていなかったらやりたかった仕事はありますか?
井手>子供時代にはあまりいい思い出がないんです。すごく大人びてたから、将来の夢というのも特になかった。子供会なんかでも、“結局大人たちが子供のイベントにかこつけて飲みたいだけでしょう?”とか、普通に言ってたような子供だったみたいです(笑)。
やってみたい仕事はいっぱいあります。今でもありますよ。消防士とか、自衛隊とか……。僕は普段いろいろ自由にやらせてもらっていますけど、ちょっと拘束されてみたいんですよね。朝は何時に起きてとか、夜は何時までに消灯しなきゃいけないとか、言われたことだけするような仕事。お給料もしっかり決まってて、パンツまで全て支給されるような、決められた中での生活です。同じことを毎日ひたすら繰り返し、何十年も同じ仕事を勤め上げる。といっても、実際にはできないと思うけど。単なる夢です(笑)。