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福田紘也『Nosferatu』インタビュー!

新国立劇場バレエ団の福田紘也さんが、横浜BankARTで振付作『Nosferatu ノスフェラトゥ』を発表! 新国立劇場バレエ団のダンサーをキャストに迎え、自身の作品世界を披露します。創作中の福田さんに、作品への想いと意気込みをお聞きしました。

BankARTという会場も独特です。客席との距離感の近さをどう感じますか?

福田>新国立劇場にいたらまずない環境ですよね。怖さはあるけれど、結局は楽しむんだろうなと思います。『DANCE to the Future』のときも小劇場でしたけど、リアクションがダイレクトに感じられて楽しかったです。ただふわっとした状態でお客さんの前に立ったら揺らぎそうな気がするし、また観ている方も実際それに気づくだろうから、キャラクターをもう少しかちっと決めておいた方がいいなとは思っています。

ドイツのカンパニーにいたときは大劇場と小劇場があって、小劇場の方はすごく小さかったので、お客様に近いところで踊ることもよくありました。あるとき舞台で踊っていたら視線の先に友人がいるのを発見して、あれはハートを試されましたね。シリアスな役だったので、“絶対に笑うもんか!”と思って一生懸命こらえてました(笑)。

 

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BankARTの会場は倉庫のようなスペースで、コンクリートの床の上に可動式の椅子を設置します。僕らはいつも劇場の長方形のステージで踊っているから、どうかすると考えがかたまってしまいがちですが、せっかく変わった空間で踊るので、上手く使えたらなと思っています。ただ壁が木枠になっていて、プロジェクターで映像を投影しようと思ったらでこぼこでよく見えなかったりと、試行錯誤の連続です。整った環境ではないけれど、だからこそ“そうか、こういうアイデアで転換していけばいいんだ”と気づいたり、そこでまた新しい閃きが生まれてくることもあります。

 

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今後の創作の予定は? 何か抱いている構想はありますか?

福田>まだ具体的に決まっている訳ではないのですが、ひとつだけいつかつくってみたいと思っている作品があります。自分のルーツがテーマで、会ったことのない自分の先祖のためにつくりたい。でもそれは今じゃないなという気持ちがあって。使いたい曲も何となく決めてるけれど、それがどうなるかはまだわからない状態です。照れ屋なのでどうしてもどこかで笑いを入れたくなってしまうけど、その作品だけは笑いはなしで、大真面目につくりたいと思っています。あと宝満さんと“いつか一緒に公演をやりたいね”と話しているのが今の自分のモチベーションとしてあります。

 

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『Nosferatu』は作家でありダンサーとしても出演します。両者の立場から、舞台を控えたお気持ちをお聞かせください。

福田>作家としては楽しみです。曲選びもそうだし、自分の中で“あまりこういうものは見たことがないな”というものが少しずつ形になっていくのを楽しんでいます。ただダンサーとしては不安でしかたないですね。振り付けがなかなか進まなかったり、クオリティ的にどうなんだろうっていう不安もある。その日撮ったビデオを観ては、“全然ダメだ!”って毎回落ち込んでいます。でも、もともと追い込まれないと固まらないタイプ。これから追い込まれるのかもしれません(笑)。

 

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-コンテンポラリー