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シディ・ラルビ・シェルカウイ『DUNAS -ドゥナス-』インタビュー!

コンテンポラリー・ダンス界の寵児シディ・ラルビ・シェルカウイと、フラメンコ界の女王マリア・パヘスによるデュオ『DUNAS -ドゥナス-』。世界各地で賞賛を浴びたこの異色作が、遂に日本上陸を果たします。2018年春の日本初演に先駆け、来日中のシェルカウイにインタビュー! 共演のきっかけとクリエイションの経緯、作品に込めた想いをお聞きしました。

マリア・パヘスとの異色デュオ『DUNAS -ドゥナス-』。おふたりの出会い、共演のきっかけを教えてください。

シェルカウイ>2004年に私がモナコ公国モンテカルロバレエ団に振付をした作品を、マリアが観に来てくれたのが最初の出会いでした。

それはクラシック作品で非常にリリカルな振付でしたが、マリアいわく“腕の使い方がフラメンコ的だ”と言ってとても気に入ってくれたんです。私は昔からマリアのファンで、子供の頃から彼女のビデオをいろいろ観ていたので、初めてお話ができたときはとてもうれしかったですね。

その後マリアとは友人になりましたが、どこか運命的なものを感じました。というのも、不思議なことに彼女とはいろいろな場所でばったり会うことが多いんです。例えば私がダンサーや振付家として出向いた都市にマリアが彼女の舞踊団と一緒にツアーで来ていたり、その一年後にはメキシコで、二年後には中国で偶然会ったこともありました。目には見えない強い縁が私たちを引き寄せていたように思います。

 

シディ・ラルビ・シェルカウイ『DUNAS-ドゥナス-』

©David Ruano

 

『DUNAS -ドゥナス-』の発端となったのが、アクラム・カーンとの共演作『Zero Degrees』(2005年)でした。カタックという伝統文化をコンテンポラリー・ダンスに取り入れた作品で、カーンとのデュエットで踊っています。そこに興味を持ったマリアが、“もしフラメンコをコンテンポラリー・ダンスに取り入れたらどうなるだろうか、ふたりのデュエットなら果たしてどのようなものができるだろうか”と提案してくれたんです。

私がマリアのために振付けるのか、マリアが振付けるのか、具体的にどのように作品をつくるのか、彼女といろいろ話し合いを重ねていきました。ただアイデアはたくさん生まれたけれど、そこから発展していくにはかなりの時間を要しました。

2004年に出会い、友人になり、お互いのことを学びあい、コミュニケーションを深め、作品について考え、最終的に2009年にシンガポールで初演を迎えています。

 

シディ・ラルビ・シェルカウイ『DUNAS-ドゥナス-』

©David Ruano

 

実は初演に先駆けて、本作のショートバージョンを2007年にパリで上演しています。それが初めてふたりが一緒に踊った舞台であり、マリアのフラメンコと私のコンテンポラリー・ダンスが初めて出会った場所でした。またふたりで一緒に舞台に立ったことで、改めてこの作品をより大きな形で発展させたいという気持ちがお互いの中に芽生えていきました。だから、『DUNAS -ドゥナス-』はふたつの段階を経て完成したと言っていいでしょう。

2007年からシンガポールで初演を迎える2009年までの二年間、ある時は私がマドリッドへ出向き、ある時はマリアがアントワープに来て、ふたりで創作を続けていきました。私にとってその二年間はフラメンコについて学ぶ期間でもありました。若い頃ダンサーとしてフラメンコのクラスを受けたことはありますが、彼女のスタイルはそれとはまた違った、とても個人的ですごく華やかなものです。なので私は彼女と一緒に踊ること、あるいは彼女の隣で踊るということを学ぶ必要がありました。

逆にマリアには私の踊りのスタイルを学んでもらいました。私のスタイルは互いに身体を触る“コンタクト”が特徴でもありますが、それはフラメンコには全くない要素です。ただマリアと作業を進める過程で、彼女は相手に触れることに全く抵抗感がないということに気づきました。実際彼女はとてもスピーディーに私のスタイルを取り入れていたと思います。

 

シディ・ラルビ・シェルカウイ『DUNAS-ドゥナス-』

©David Ruano

 

 

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