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佐多達枝『カルミナ・ブラーナ』インタビュー!

1995年に初演を迎えたO.F.C.の合唱舞踊劇『カルミナ・ブラーナ』。ダンスと歌唱、そしてオーケストラで描かれるダイナミックなステージは大きな反響を呼び、以来8度に渡り上演を繰り返してきました。そしてこの夏、待望の再演が決定。開幕を前に、芸術監督を務める佐多達枝さんにインタビュー! 作品へ寄せる想いをお聞きしました。

O.F.C.での初演に先駆け、1982年にご自身の公演でカルミナ・ブラーナに振付けをされています。どういった経緯でこの楽曲を選ばれたのでしょう。

佐多>あるとき知人のチェリストの方から、“こういう音楽があるよ”とカルミナ・ブラーナを教えてもらったのがきっかけでした。“踊りに向いているのでは?”と薦められて、実際に音を聴いてこれはいいなと思った。ただ最初は全曲ではなく抜粋だったんです。全曲に振付けをするようになったのはO.F.C.に関わってから。

作品によって創作法は変わりますが、カルミナ・ブラーナに関して言うと、音楽そのものを踊りに変えるという方法で振付けました。音楽が踊りに向いているので、自然とそうなった形です。音楽自体が素晴らしくて、それでいてやさしい音ではないから、そのリズムに乗る感じの動きにしようと頭に置いて振付けを考えていきました。非常にエネルギッシュな音楽なので、大人しくきれいごとにしていてはいけないな、というのは肝に銘じました。それは今でもずっと思っています。

 

佐多達枝

 

振付家によって振付法はそれぞれ違うと思いますが、私は事前にきちんと動きを用意しておくタイプ。自分で言うのもおかしいけれど、シャイな性分があって、きちんと用意しておかないといざダンサーを目の前にしたときにおどおどしてしまってダメなんです。それに用意してないと現場でダンサーを待たせることになりますし、何だかせかされている感じがして落ち着かない。振付家然として堂々と現場に挑むためにも、事前に考えて自信を付けておく必要がある。今でもどちらかというとそう。

まず頭の中で考えて、忘れないように書き留めておき、それを見ながらダンサーに渡していくというやり方です。もちろんダンサーが実際に動いてみると、考えていたイメージと齟齬が起こることはあります。でもそこはしつこく言うしかない。こちらが諦めないことですよね。ただ最近のダンサーはみなさん基礎がきちんとしていますし、いろいろな作品を踊っていますから、ある程度のところまでいった人はなんでもこなせます。昔と違って、“私はこれしかやりません”という人はいませんから、そういう意味では今の方がラクになりました。

1982年の初演時は主演を中島伸欣さんが踊っています。人には“女性より男性の振付けの方がお得意ですよね”と言われることがあります。自分ではわかりませんけど、きれいな踊りをつくるのが得意ではないから、そういうところはあるのでしょうか。

 

佐多達枝

 

その後1995年にO.F.C.の合唱舞踊劇『カルミナ・ブラーナ』を初演していますが、こちらは1982年時の作品をベースにつくられたのでしょうか。

佐多>1982年の作品は音も抜粋だし合唱の人たちもいなかったので、O.F.C.で初演した『カルミナ・ブラーナ』とは全然違います。なのでO.F.C.の作品として『カルミナ・ブラーナ』を創作したときはゼロからの作業でした。同じ曲でもうひとつ作品をつくるというのはやはりやりにくい部分はありましたね。ただ振付はどんな作品でも難しいですし、簡単にはいきません。苦労というのはいつもある。

 

佐多達枝

 

だいた作品にかかる時間は短くて3ヶ月ほどで、『カルミナ・ブラーナ』の場合も半年はかけていなかったと思います。というのも、こちらが決めたスケジュール通りにみなさんが集まってくれるとは限らないので、まず時間がない。ダンサーがなかなか揃わないし、いざ集まっても、それぞれ何時になると教えや仕事がありますからと言って帰ってしまう。“ちょっと待った!”と背中を引っ張って連れ戻す訳にもいかないですし(笑)。

初演から現在までキャストもいろいろ入れ替わりましたが、継続して出演している方も結構います。振りに関しては細かく変わっているので、継続して出演しているダンサーには、“ちょっとずつ変わっているとかえって覚えにくい”と言われてしまいました(笑)。

 

佐多達枝

 

 

 

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