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グレアム・マーフィー『フロック(ドレス)』インタビュー!

グレアム・マーフィー振付、マチュア・アーティスト・ダンス・エクスペリエンス(MADE)の出演で話題を呼んだ『フロック(ドレス)』が、この秋日本初上陸。さいたまで開催される高齢者舞台芸術国際フェスティバル『世界ゴールド祭2018』のプログラムとして参加し、そのパワフルなステージを披露します。開幕を前に、グレアム・マーフィーにインタビュー! 振付の経緯と本作への想いをお聞きしました!

自身才能溢れるダンサーとして活躍してきました。年齢を重ねること、衰えに対する恐怖やあせりを感じることはありますか?

マーフィー>ダンサーが踊りを止めると、身体に急激な衰えがきます。しかし私の場合は、ダンサーから振付家へと移行したことで、それまでとは異なるアプローチでダンスをつくるというプロセスに向き合うことになりました。自分の身体の限界を超えて、その外に存在する無限の可能性を探求するということです。

日本では現在高齢化問題がさかんに取り沙汰されています。特に日本の場合、仕事/会社に置く比重が大きく、リタイア後の人生をどう前向きに生きていくかが大きな課題となっています。オーストラリアの現状はいかがでしょう。

マーフィー>オーストラリアも状況は似ています。仕事ではないどこかに自分の価値を見つけようと必死になります。でも自分の変わりつつある身体と向き合うというのは、自分自身の価値を再発見するのにうってつけの、素晴らしい手段だと思いますよ。

 

(C)Terence Munday

 

年を経てなお前向きに、活発に活動を続けていく原動力とは? 身体性、精神性の両面で必要なものは? それまでの人生でしておくべきこととは何だと考えますか? MADEのみなさん、またご自身の経験を通してお聞かせください。

マーフィー>不思議なもので、虚栄心というのは自己の尊厳や価値、社会とのつながりを感じるために使うならば、ポジティブな効力となり得るのです。過去にしがみつくのではなく、未来への興奮と情熱をもてば、人は自由を得ることができます。

心身共に健康であるためには、愛、愛されていると感じることが大切だと思います。あらゆる愛——生きることへの愛、他人への愛、未知なるものへの愛——は私にとって自分が存在する最大の意味であり、愛を感じるとき、身体というのはミステリアスで魅惑的な反応をします。

若さは何かの準備のための時間ではなく、謳歌し愉しむための時間だと私は思っています。でも時にこの時期には、規律や目的の芽がめばえ、成熟と永遠への準備となるのです。

最後に、日本の観客にメッセージをお願いいたします。

マーフィー>『フロック(ドレス)』をご覧になって、観客のみなさんがそれぞれの過去を想って心温まり、今をエネルギッシュに生きる力になればとてもうれしく思います。

 

(C)Terence Munday

 

-コンテンポラリー