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大貫勇輔『メリー・ポピンズ』インタビュー!

この春日本上陸を迎える大型ミュージカル『メリー・ポピンズ』に、メインキャストのひとり・バート役で出演する大貫勇輔さん。開幕に先駆け、大貫さんにインタビュー。長期に渡ったオーディションと、リハーサルの様子、作品への意気込みをお聞きしました。

開幕後は3月の東京公演から6月の大阪公演まで長期公演が続き、ハードな日々が予想されます。

大貫>昔は公演数が多いとしんどいなと思っていたけど、今は足りないくらい。もっと舞台に立ちたいし、むしろ昼夜全公演出たいくらい(笑)。やればやるほど気づきがあるし、本番中も進化したい。

プレビューも入れて全96回公演で、柿澤さんと僕で半分ずつ出演することになると思います。バート役は出ずっぱりなので、これは間違いなく大変ですね。2幕の『Step In Time』をはじめ、キツいポイントがいくつかあって。集中力を切らさないようにする、というのも大切な部分です。でも物語自体が明るいので気持ち的には明るくいられるし、どれだけ楽しんでいられるかにかかってくるような気がします。

 

メリー・ポピンズ

(C)Disney/CML  Photo: Johan Persson

 

息抜きはどうされていますか? 心身のメンテナンスで心がけていることは?

大貫>今はあまり休みたくない気分。本当に稽古が楽しいんです。その代わり毎日たくさん寝るようにしています。早いと20時に寝てしまうようなこともありますよ(笑)。休みの日も必ず朝きちんと起きて、リズムを崩さないようにしています。今はこの作品のことをずっと考えています。『ビリーエリオット』のときからそうなりました。ビリーたちのがんばりを見て、オールダービリーとして彼らに背中を見せなければと思ってからは、普段の生活からきちんとしなければと考えるようになりました。

ビリーエリオット』のときは舞台自体が暗くてスモークもあったし、子供たちを吊るシーンもあって命がかかってた。危険な状態だったからこそ万全の状態で臨みたいと思ったし、そうでないとビリーたちにも失礼になる。あれから稽古中はお酒もなるべくセーブするようになったし、いろいろ気遣うようになりました。

食事にはすごくこだわっています。毎朝必ず決まったものを食べて、日中は3時間置きにおにぎりを一個ずつ食べて、夜はなるべく炭水化物を抜いています。朝は、ご飯、味噌汁、納豆、ソーセージ、サラダ、トマト、キムチ、にんにく、のりを毎日必ず食べています。人間って続けることが一番難しいじゃないですか。でもそれをクリアすると、“今日もできた”“今日もできた”とひとつの点のつながりになる。イチロー選手が毎朝カレーを食べるというけれど、それってちょっとわかるような気がします。

元気の源という意味もあるけれど、これを守らないと自分の中のリズムが崩れてしまう。身体の調子はいいですね。この食生活はずっと続けていこうと思っています。

 

大貫勇輔

 

ミュージカルの稽古が続いて、ダンス作品への欲求が高まることはないですか?

大貫>全然そういう気持ちはないですね。正直その余裕がないんです。ただクリエイティブなことはしたいと思う。何かつくる作業、生み出す作業がしたい。インプットしているよりも、何かつくっているときの方が自分の中が整う感覚があります。

バーレッスンとストレッチと筋トレは今も毎日欠かさず行っています。稽古場で自主トレをしているくらいですけど、それでも続けていると軸のとらえ方が全然違いますね。芝居には必要ないといえばないけれど、いざダンス作品に出るとなったとき、いちから取り組んでいたら間に合わなくなってしまう。

以前芝居に出ていたときトレーニングを何もしないでいたら、ダンスの身体に戻すのに2〜3ヶ月かかってしまって。やっぱり日頃から続けることが大切なんだと実感しました。だから今から準備をしておきたいというか、ダンス公演の話が来たときにいつでもきちんと対応できるダンサーの身体を保っておかなければと思っています。

ただあまり身体を固めすぎても声によくないので、筋トレはほどよくするようにしています。身体だったらどこか痛めてもその部分を逃がしてある程度は動けてしまうけど、声の場合は逃がせない。逃がせるのかもしれないけれど僕は逃がし方を知らないから、そもそも痛めないようにしようと思って、日頃からなるべく気を付けています。

 

大貫勇輔

製作発表

もうすぐ開幕です。作品をご覧になる方に持ち帰って欲しいものとは?

大貫>ディズニー作品らしい、すごく温かい作品です。お父さんたちにとってはジョージ・バンクスと繋がる部分が絶対どこかにあると思う。今この瞬間しか過ごせないであろう子供たちとの時間を自分は大切に過ごせているのか、そう考えさせられる作品になっています。

セットや照明もすごくきれいだし、テンションの上がるナンバーが何曲もあって、観ている瞬間は夢の世界にいられると思う。未就学児の4歳から入れるので、ぜひ子供を連れて家族で足を運んでもらえたらと思っています。

 

メリー・ポピンズ

(C)Disney/CML  Photo: Johan Persson

この大役を経て、今後の展望、目指すものとは?

大貫>今はこの作品のことしか考えられないというのが正直な気持ちです。自分の中で納得できるようなバートを、みなさんに納得してもらえるバートができたら、この先のことは自然と見えてくると思う。それだけ大きな力が付くであろう作品で、だから今は全神経を注いでいたい。

これほど自分に合うキャラクターに出会えることはそうそうないと思うので、もし再演があるならぜひまたやりたいし、バートに出会えたことに今は感謝の気持ちでいっぱいです。

大貫勇輔

(C)Disney/CML

 

 

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