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大貫勇輔×栗山廉『ビリー・エリオット』インタビュー!

この秋日本初演を迎える大型ミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』で、オールダー・ビリー役を演じるコンテンポラリーダンサーの大貫勇輔さんとKバレエ カンパニーの栗山廉さん。映画ではアダム・クーパーが扮したキーパーソンを、おふたりがWキャストで演じます。大貫さんと栗山さんのおふたりに、役への意気込みと作品への想いをお聞きしました。

 

オールダー・ビリー役 栗山廉さん

 

ミュージカル初挑戦ですね。現場の雰囲気はいかがですか?

栗山>稽古がはじまったのは今年の5月。ミュージカルの現場はバレエとは全然雰囲気が違って、稽古のたびに毎回圧倒されてしまいます。いろいろなスタジオでさまざまなシーンの稽古が同時進行で行われていて、まずそのスケールの大きさに驚きました。主要なキャストの方々はもちろん、アンサンブルのみなさんも熱意がものすごくて、現場にいるだけでパワーが伝わってきます。やっぱり言葉の迫力というのは違うものだなと感じています。

 

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栗山さんが扮するのはビリーの未来像でもあるオールダー・ビリー。映画版の『リトル・ダンサー』ではアダム・クーパーが演じたキーパーソンです。

栗山>物語自体は基本的に映画と同じ内容ですが、最後だけ少し違っています。映画版だとオールダー・ビリーは最後にに少し登場するくらいなのですが、ミュージカル版では二幕の後半に『Dream Ballet』という曲を一曲しっかり踊ります。

英国のクリエイティブスタッフが来日して、彼らに振りうつしをしてもらいました。ステップ自体はバレエが基本になっていますが、例えばジャンプから床に転がったり、クラシックにはないリフトがあったりと、コンテンポラリー的な動きも入っています。これまでもコンテンポラリーには挑戦してきましたが、その経験が少しは役に立っているかもしれないですね。

難しいのはイスを片手で回しながらバレエのステップを踊るシーンで、最初はイスを何度も倒してしまったりと、慣れるまでなかなか苦戦させられました。子供ビリーとのパ・ド・ドゥもあります。僕が子供ビリーを持ち上げて、そこで一回転させてみたり……。身長差も大きいので大変な部分もありますが、彼らは体重が軽いのでそこは助かっているところです。バレエではまず男の子と男性のパ・ド・ドゥというのはないですよね。だからすごく面白いです。

一番苦労したのがフライングのシーンで、子供のビリーが空を飛びます。オールダー・ビリーがビリーと手をつないだ状態で、いわば僕らが子供たちをあやつる感じ。子供のビリーを放り投げ、それをキャッチするシーンもあります。そこはキケンも伴いますし、子供のビリーも僕自身も経験したことのない動きだったので、入念にリハーサルを重ねています。しかも子供のビリーは5人いて、それぞれ体格も違えば力の入れ方もみんな違う。そこでキャッチの仕方が全然変わってくるので、微調整が必要です。

 

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今回は大貫さんとWキャストで演じます。お互いの存在を意識するようなことはありますか?

栗山>大貫さんとは全くタイプが違うので、やはりすごく刺激になりますね。大貫さんに少しでも食らいついていこう、何か少しでも盗めたら……、という気持ちで挑んでいます。大貫さんの方が4つ年上で、筋トレだとか身体の使い方などいろいろ教えてくださいます。大貫さんの身体への向き合い方はかなりマニアック。長い腕をどうしてそんなにキレイに動かせるのかと訊ねたら、すごく細かいところまで筋肉を意識して動かしていて。細部まで神経を行き渡らせているんだなと驚きました。バレエに関しては大貫さんの方から聞いてくださることもありますし、僕で役に立つことがあればできるだけお伝えしています。

大貫さんは先輩の宮尾俊太郎さんと仲がいいので、一度三人で食事に行きました。僕にとってはふたりとも年上ですが、気さくで話をいろいろ引き出してくださって、すごく楽しい時間でしたね。その日は筋肉を付けるためにラムしゃぶのお店に行きました。ラムしゃぶは脂肪が少なくてたんぱく質が多く、しかも鍋で湯がくことで脂が落ちるので筋肉にはすごくいいように思います。三人でボディビルダーやアスリートのトレーニング映像をYouTubeで見ては、“これいいね”とか“この人のトレーニングはダンサーには向いてないね”なんて、いろいろ話して盛り上がってました(笑)。

 

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栗山さん演じるオールダー・ビリーは踊りのほかに歌やセリフもあるのでしょうか?

栗山>セリフはありませんが、歌はフィナーレの最後に少しだけ歌います。先日歌の先生とマンツーマンで稽古をして、発声練習から教えていただきました。今ではちょっぴり欲が出てきて、いつか歌をしっかり歌う役で舞台に出てみたい、なんて気持ちになっています。今回はステップを踏みながらアンサンブル全員で歌うので、僕の声は聞こえるかわからないけど、楽しんで歌いたいと思っています。

 

 

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