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フィリップ・ドゥクフレ『新作短編集(2017)ーNouvelles Pièces Courtes』インタビュー!

フィリップ・ドゥクフレ率いるカンパニーDCAが、『新作短編集(2017)ーNouvelles Pièces Courtes』を引っさげ来日。昨春フランスで初演を迎え、話題を呼んだ最新作が早くも日本上陸を果たします。公演に先駆け来日中のドゥクフレに、作品についてお聞きしました。

なぜこうした短編集をつくろうと思ったのでしょう。

ドゥクフレ>この作品に限らず私が創作をするときは、いつも小さなモジュールをつくり、それをパズルのように合わせています。今回は小品をわざとまとめずに、各々異なった趣向の作品を集めて短いままご紹介しています。

私が若かった頃によく観ていた現代舞踊、特にアメリカの作品には短編が多く、その影響があると思います。ニューヨークで舞踊の勉強をしていたときに習ったふたりの教師、アルヴィン・ニコライとマース・カニンガムも短編をつくる人たちでした。母はバレエ・リュスが大好きでしたが、リュスの作品もやはり短編や中編が大半ですよね。バレエでよく使われる『春の祭典』はすごく長い印象がありますが、時間にするとたった40分間の作品です。

1980年代頃からフランスではダンスがひとつの芸術として以前より認められるようになり、助成金も出るようになりました。結果“作品をつくらなければ”という使命を帯びた振付家たちが突然90分の作品をつくるようになり、それがまた退屈を引き起こすことになった。そうした部分も含めて、ある意味自由に立ち返りたいという気持ちがありました。例えば一作目のデュオにしても、3〜4曲を使って15分ほどの作品に仕上げています。お客さまもきっと退屈せずに済むのではないかと思っています。

 

フィリップ・ドゥクフレ

©Charles Freger

 

これらの短編に共通するコンセプトとは?

ドゥクフレ>作品をつくるときはいつも本能的につくっています。それが良いことかどうかはわかりませんが、まず短編をつくってしまって後で全体像を考えます。今回の短編集にしても、それぞれ異なったモチベーションでつくっています。これらの短編をつないでいるものがあるとしたら、同じダンサーが演じていて、同じ振付家がまとめていて、それを同じ空間で同じ時間に上演する、ということでしょうか。

今回は8人(埼玉公演は7人)のダンサーが出演します。ひとりひとりがそれぞれダンス以外の何かができる人たちで、ミュージシャンもいれば、映像の専門家がいれば、文学的な才能を持つ女性もいて、彼女が全てのセリフを書いています。前回の『CONTACT-コンタクト』より人数は絞っていますが、多彩な才能を持った人たちが集まっています。特別な知識を必要とする作品ではなく、いろいろな解釈ができる作品だと思います。あらゆる人たちに向けてお届けしたい作品です。

 

フィリップ・ドゥクフレ

©Charles Freger

 

 

-コンテンポラリー