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マリインスキー・バレエ 永久メイ インタビュー!

今春マリインスキー・バレエに正式入団を果たし、現在セカンド・ソリストとして活躍する永久メイさん。この冬の来日ツアーでは、『ドン・キホーテ』、『白鳥の湖』、ガラ公演『マリインスキーのすべて』に出演し、マリインスキーも認めたその実力を披露します。来日公演を前に、永久さんにインタビュー! マリインスキー・バレエ入団の経緯と、公演への意気込みをお聞きしました。

マリインスキー・バレエに入団して、戸惑ったこと、大変だったことといえば?

永久>私はワガノワ・メソッドを習ったことがなかったので、クラスはもちろん、リハーサルで受ける注意にもかなり違いを感じましたね。よく注意されたのは上半身の使い方。バレエ団のダンサーたちを見ていても感じることですが、ワガノワ・メソッドは上半身から指先にかけてのラインがすごくきれい。もともと手が硬かったということもあり、そこは一番注意されたところでしたし、一番の課題だと思っています。

何より一番戸惑ったのは、リハーサル期間の少なさです。モナコのアカデミーや日本でコンクールに出ていたときもそうですが、たった一度の舞台のためにいつも長い時間をかけて練習をしてました。だけどバレエ団に入ったら毎日違う公演があって、そうなるとひとつの作品をずっと練習する訳にもいかなくなってくる。自習をしたくても、ダンサーの人数が多いので空いているスタジオがなくて、なかなか思うように稽古ができません。だから毎日のリハーサルがとても貴重な時間で、そこはやはり学校とは違うなと感じます。

上演作品は毎日違って、公演によってカンパニーのスケジュールも毎日変わります。同じ演目が三日続けば多い方で、ほとんど毎日公演があり、ほぼ毎日満席になります。やっぱり文化の違いで、劇場が生活に浸透しているんだなと感じます。

 

(C)Valentin Baranovsky

 

研修生時代の想い出をお聞かせください。

永久>研修生としての初舞台は二週間後。『バヤデルカ』のトリオを踊りました。いきなり“二週間後に踊れ”と言われて、すごくあせりました。全然知らない作品でしたし、そのまた5日後に『海賊』のオダリスクが控えていたりと、舞台が立て続けにあって驚きました。とにかくリハーサルが短かくてすごく怖かったです。

公演の三週間くらい前にバレエ団の掲示板でスケジュールが発表されて、そこで自分が何を踊るかわかります。ときには掲示板に書かれるのが公演の一週間前ということもあるので、そうなると本当にあせります。掲示板より早いのが、マリインスキー・バレエの公式ウェブサイト。お客さんと全く同じタイミングです(笑)。私はいつもそこで自分が踊る演目を確認しては、少しでも早く練習をはじめるようにしています。

 

 

リハーサル期間は短いけれど、まだ私は余裕がある方かもしれません。プリンシパルの方たちは短い練習期間でたくさん踊っているので体力が必要ですし、その上で大きな責任を負っている。上に立つ人たちは本当にすごいなと思います。

ダンサーのみなさん本当にステキで、レッスンのときも“この人がいる、あの人がいる!”と目移りしてしまうほど。プリンシパルの方たちを見ていると、彼らの並々ならぬ努力に圧倒されます。とにかくみなさん自己管理をきちんとしてる。バレエ団に入って驚いたのが、朝のクラスを最後まで受けない人がほとんどだということ。彼らは公演をたくさん抱えているので、体調やケガの具合と相談しつつ、自己管理をしているんだということをそこで初めて知りました。

朝のクラスはみんなと一緒にレッスンしますが、ソリスト以上の役を踊るダンサーには先生がついて、リハーサルはその先生が一対一で指導してくれます。私はエルヴィラ・タラソワ先生に習っていますが、彼女はエカテリーナ・コンダウーロワやクリスティーナ・シャプランなど主役級のダンサーたちの指導もしているのですごく忙しそうです。

ただ全て自分の先生と一緒にリハーサルをする訳ではなくて、例えば『白鳥の湖』のパ・ド・トロワを踊るときなどは、またその担当の先生に見てもらうこともあります。先生によってやはり注意することも指導も違ってくる。タラソワ先生のことはすごく信頼していますし、彼女に教わることができて本当によかったなと思います。

 

(C) Valentin Baranovsky

 

研修生のとき『くるみ割り人形』で主役デビューを果たしています。異例の大抜擢ですね。

永久>くるみ割り人形』を踊ったのは今年の4月。初主演を踊るという意味でも『くるみ割り人形』はいい作品だろうということで、この役をいただきました。すごくうれしかったです。

くるみ割り人形』は全幕だったのとパートナーも主役を初めて踊るということで、比較的リハーサルに時間を割くことができました。だから緊張も全然しなかったし、とても楽しかったです。パートナーはブラジル人のヴィクター・カイシェタ。彼もワガノワ・バレエ学校ではなくベルリンのバレエ学校出身なので、ちょっと似たもの同士です。

 

(C) Valentin Baranovsky

 

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