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マリインスキー・バレエ 永久メイ インタビュー!

今春マリインスキー・バレエに正式入団を果たし、現在セカンド・ソリストとして活躍する永久メイさん。この冬の来日ツアーでは、『ドン・キホーテ』、『白鳥の湖』、ガラ公演『マリインスキーのすべて』に出演し、マリインスキーも認めたその実力を披露します。来日公演を前に、永久さんにインタビュー! マリインスキー・バレエ入団の経緯と、公演への意気込みをお聞きしました。

今年6月、正式団員になると同時に、セカンド・ソリストに昇格しています。

永久>今年5月に18歳になり、ビザが下りてようやく正団員になれました。オーディションは特に受けていません。ワガノワ・バレエ学校から卒業生がどんどん入団してくるので、マリインスキー・バレエでは基本的にオープンオーディションは行ってなくて、外部から入団するとしたら監督がコンクールなどで見つけたダンサーを招待するくらいでしょうか。

正団員になったといっても、バレエ団で正式に発表されるようなこともなければ、みんなに祝福されるような感じでもなくて。監督の秘書の方に“バレエ団のウェブサイトをチェックしてみて”と言われて、そこで初めて自分が正団員になったことを知りました。私自身、正式団員になったからといって練習の仕方が変わることもないですし、今も日々練習です。ただモナコの校長がすごく喜んでくれて、学校の公式インスタグラムにアップしてくれました。その情報をきっかけにみなさんに認知されていったようで、たくさんお祝いのメッセージをいただきました。

セカンド・ソリストになれたのは本当にびっくりです。具体的に何か変化があった訳ではありませんが、やはりすごくうれしかったです。もう感謝しかないですね。

 

(C)Natasha Razina

 

ロシアに渡って一年あまりが経ちます。ロシアの生活はいかがですか? 

永久>ロシアに来た当初はかなり大変でした。まず言葉がわからないし、冬はものすごく寒くて、マイナス20度くらいまで下がります。だけど以前はもっと寒くて、マイナス40度は当たり前だったと聞いています。冬が長くて陽が落ちるのも早いので、夏が来るのが待ち遠しいですね。夏は白夜で、暗くなるのは1日のうち1〜2時間くらいです。

今は劇場の寮で暮らしています。私が住んでいる寮は劇場のすぐそばで、道路を渡るだけ、徒歩15秒くらいの場所。夜遅く公演が終わっても、レオタードのまま帰れます(笑)。寮に帰ると、家族と電話で話をして、あとは日本のテレビを見るのが毎日のちょっとした楽しみです。

基本的に自炊をしていますが、疲れているときは劇場の食堂で済ませることも。ロシアでも日本食は売っているけど、すごく高いですし、やっぱりちょっと違います。試しに豆腐を食べてみたら、堅いチーズみたいで、日本のものとは全然違っていました(笑)。スーパーで売っている食材もあまり新鮮ではなくて、やはり住みやすさという意味では日本の比ではないですね。ただ最近は新しいショッピングモールができたりと、多少便利になりつつあります。

カンパニーの休みは月曜日。ただ一日でも休んでしまうとよくない気がして、休日もレッスンに行っています。休みの日もスタジオが開いているので、自由にレッスンができるんです。あとはたいてい家にいて、本を読んだり、手芸をしたり。出かけるとしても、家の周辺をぶらぶら散歩したり、スーパーに買い出しに行くくらい。リハーサルが先生と一対一の個人レッスンなので、他のダンサーと予定を合わせるということもなかなかできなくて、たいていひとりで過ごしています。観光も特にしてなくて、父や母が来たときに一緒について行くくらい。バレエ漬けの生活ですが、それにももう慣れました。

 

(C)Natasha Razina

 

今年冬に開催される日本ツアーでは、マリインスキー・バレエの一員として東京と兵庫で踊ります。

永久>今回日本ツアーのメンバーに入れて本当にうれしいです。兵庫の会場は私の家から10分ほどと近いので、とりわけうれしくて。

日本ツアーでは、『ドン・キホーテ』のキューピッド、『白鳥の湖』のパ・ド・トロワ、そしてガラ『マリインスキーのすべて』ではヴィクターと一緒に『海賊』に出演します。『白鳥の湖』のパ・ド・トロワはこれまで何回か踊っています。『ドン・キホーテ』のキューピッドは一度だけ踊ったことがありますが、かわいくて大好きな役。『海賊』はパ・ド・ドゥなので、ちょっと緊張しています。

 

(C)Natasha Razina

 

今後の目標、夢はありますか?

永久>『ジゼル』を踊ってみたいです。15歳で初めてロシアに来たとき観たのが『ジゼル』で、すごく感動して“いつか私もあの作品に出てみたい!”と思うようになりました。

自分ではどちらかというとやわらかいイメージの役の方が向いていると思っています。日本にいた頃からそうで、コンクールでもよくドルネシアを踊ってました。自分にあまり自信がある方ではなくて、先生にもいつも“もっと自信を持って踊りなさい”と言われます。自信を持たなければというのはわかっていても、踊り終わると“ここができなかった”、“あれができなかった”と考えてしまう。それで自分を追い詰めているのはわかっているけど、だからこそ“もっとがんばらなきゃ!”と練習できているんだと思います。

将来について何か大きな目標があるという訳ではなくて、毎日すべきことをコツコツやっていきたいと思っています。今はとにかく日本公演に向けてがんばるつもり。日本で踊る日をすごく楽しみにしています。

 

 

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