Kバレエ カンパニー 栗山廉インタビュー!
Kバレエ カンパニー3月公演『バレエ ピーターラビット™と仲間たち』に出演します。リハーサルの手応えはいかがですか。
栗山>今回初めて『バレエ ピーターラビット™と仲間たち』に出演します。この作品を最後にカンパニーで上演したのは6年前で、まだ僕が入団する前のこと。先に(同時上演の)『レ・パティヌール』のキャストが発表されてホワイトカップル役をいただきましたが、『バレエ ピーターラビット™と仲間たち』の方はあまり自分のなかでイメージできるキャストがなかったので、決まったときは意外な驚きとうれしさがありました。キャラクター性が求められる作品なので、挑戦でもありすごく楽しみです。
新しい作品に取りかかるときは、リハーサルが始まる前にまずDVDを観て、曲を聴き、振りを覚えます。そこで予習してある程度頭に入れておくと、すんなり振りうつしに入ることができる。もちろんダンサーはみんなやっていることだと思いますけど、少しでも余裕を持ってリハーサルに臨めたらと考えています。
舞台では着ぐるみをかぶって踊るので、リハーサルではその分も考えて動くようにしています。例えば笑うシーンで手を口元に持っていくときは、自分自身の顔の近くではなく、着ぐるみの距離を計算して少し離れたところに持っていくようにしたり……。実際の表情は見えず、着ぐるみとセットで表現が伝わらなければいけないので、そこは難しいところです。着ぐるみで顔が見えないのはわかっていますが、気持ちが入ると表情が自然と出てきてしまうというか、その方がやはり演じやすいですね。
以前『くるみ割り人形』でねずみの王様役を演じたときに着ぐるみ姿で踊ったことがありますが、暑いし呼吸ができなくて、終わる頃には“早く脱ぎたい!”という感じで大変でした。『バレエ ピーターラビット™と仲間たち』もやはりそうらしく、経験者の先輩方に聞くとみなさん大変だと言われます。視界も狭いし、何より暑いので体力が奪われてしまう。それに、大きなしっぽがついていたりと着ぐるみ自体の重さがある。“空中で回転するシーンはしっぽに振りまわされるから全然感覚が違うよ”と聞いているので、ちょっと覚悟しています。こうして先輩から体験談が聞くことで、気持ちの準備ができますね。
パートナーは小林美奈さん。『白鳥の湖』でジークフリードを踊ったときや、ディレクター(熊川哲也)振付の『シンプル・シンフォニー』に出たときも一緒に踊っていますが、小林さんは女性のなかでも背が高い方なので身長のバランスもちょうどいいし、すごく気さくな方でコミュニケーションも取りやすい。軸が強くて回転もぶれず、パ・ド・ドゥも勝手に回ってくれる感じで(笑)、とても心強いです。
『レ・パティヌール』にはホワイトカップル役で出演します。本作はフレデリック・アシュトン振付作であり、Kバレエ カンパニー初演となる注目作ですね。
栗山>以前英国ロイヤル・バレエ団のDVDを観ましたが、スケートをしているようなすごく独特な動きで面白いなと思いました。ブルーボーイというジャンプやテクニックが目立つ役があるのですが、僕が踊るホワイトカップルは対照的に流れるような動きをカップルのパ・ド・ドゥで優雅にみせていきます。ブラウンカップルという4組のペアはその両方を兼ね備えていて、優雅なシーンもあればジャンプなどテクニックも出てくる。20分くらいの小品ですが、いろいろなシーンが盛り込まれていて、音楽も聴き馴染みがあり飽きずに楽しめます。
振付指導には英国ロイヤル・バレエ団からクリストファー・カーさんが来てくださいますが、それも僕にとっては初めての経験です。クリストファーさんの指導されている映像をYouTubeで見たら、すごく楽しい雰囲気だったので今からすごく楽しみですね。今回は宮尾俊太郎さん、石橋奨也さんとのトリプルキャストで、プリンシパルの方と同じ役を踊るのは責任感も感じるところですが、人と比べたりせず自分にできる最大限のことをしようという気持ちでいます。
男性5人のパフォーマンスグループ・バレエジェンツのメンバーでもある栗山さん。今年夏、バレエジェンツ初となる単独劇場公演が栗山さんの地元・札幌で開催されます。
栗山>オーケストラとのコラボレーションや愛媛県の内子座公演などはありましたが、バレエジェンツが劇場で単独公演をするのは今回が初めてです。バレエジェンツのメンバーでは僕と宮尾さんが札幌出身で、地元で踊ることができるのはやはりすごくうれしいですね。僕はまだバレエ団の公演でも札幌には行ったことがないので、バレエジェンツとしてはもちろんKバレエ カンパニーの一員として初めて札幌のお客さんの前で踊ることになります。地元の友達や先生の前で舞台に立てることはうれしいですし、みんなきっと観に来てくれると思います。
バレエジェンツの結成は2014年3月で、僕が入団して2ヶ月後のことでした。バレエジェンツのメンバーはみんな仲がいいですね。杉野慧くん、益子倭くんとは同学年ですが、僕は早生まれなので一番歳下。弟キャラ、なんでしょうか……。カンパニーのリハーサルと重なったりと体力的な部分でハードなときもありますけど、やはりバレエジェンツでの経験はすごく大きいです。これだけ舞台を踏めるのはダンサーにとって強い武器になるし、経験ってすごく大事なんだなと実感することが多々あります。
ただ失敗談もあって、以前ディナーショーで客席を回っていたときに、自分の出番を忘れて全力ダッシュでステージに戻ったなんてことも……。今でも話題にされますが、あれは思い出すと頭が痛いです。実はあのシーンは記録映像に残っていて、ファンミーティングで上映もされました。みなさん笑ってくださったので、まぁよかったのかなと思っています(笑)。
バレエジェンツは交流会などでファンの方々の声を聞ける機会もあり、とても励みになります。一番うれしいのは、変化に気付いてもらえたとき。たとえば僕が身体を大きくしようと頑張ってるときに、“ちょっと力ついたんじゃない?”“筋肉ついたんじゃない?”と言ってくださったり、“あそこの表情よかったね”とちょっとした変化をみていただけるのはありがたいなと思います。