リアル動画で大注目! 谷桃子バレエ団 大塚アリスインタビュー
谷桃子バレエ団の75th Anniversaryガラ「TMB HISTORY GALA PERFORMANCES」で、『ジゼル』と『瀕死の白鳥』を踊ります。配役されたときの心境はいかがでしたか?
大塚>もうびっくりでした。どちらも難しい作品ではあるけれど、白いバレエが好きなので、すごくうれしかったです。
『ジゼル』は地元の小さなガラコンサートで踊ったことがありました。でもそのときは2幕だけだったので、今改めて髙部先生に細かく振り移しをしていただいています。「谷先生はこういう風にしていた、谷先生にこういう風に言われた」と、実際に踊ってらした髙部先生が踊りながら谷先生の教えを伝えてくださるのですごくありがたいですね。ゆったりラインを見せられるタイプの踊りなので、私なりに自分らしさが出しやすくはあって、やっていてすごく楽しいです。
ただ今回はガラ公演ということで作品がたくさんあるので、ずっとひとつの作品ばかりリハーサルをしてばかりもいられません。リハーサルとリハーサルの間が空くことも多いので、その時間を使って自分なりに練習するようにしています。毎日毎日同じことをしているとわからなくなってしまうので、考える時間があるのはすごくありがたいですね。音楽を聴いて、ここからここまでの音でこれくらい移動しよう、これくらい引っ張って使ってみよう、このラインはもうちょっとこちら側を見せた方がいいんじゃないかーーと、曖昧なところを自分で確認しつつ、その中でさらに私らしいラインをどうやって見せようか探っているところです。
今の課題は速い動き。もともと速い動きが苦手なので、速く、かついかに音楽性をもって踊れるか、細かいところまで集中して踊りたいと思っています。
パートナーは今井智也さん。「ここから移動するときもうちょっとこちらにいた方がいいよ」と正しい位置に重心を持って行ってくださるので、とても勉強になります。今回今井さんと組んでいる間に、教えてもらったものを身体で覚えようと思っています。
役作りも大切です。私の思い描くジセル像は、弱くはありつつ、内に秘めた強さがある女性。必死でアルブレヒトを守る、芯の通っている女性を表現できたらという想いがあります。
『瀕死の白鳥』を踊るのははじめてで、プレッシャーはやはりあります。歴史ある作品だし、錚々たる方々が踊ってきているので、みなさんの想いがすごい。『瀕死の白鳥』は大塚礼子先生から教わっています。礼子先生は谷先生から直接教えていただいたそうです。高部先生も踊ったことがないということで、「『瀕死の白鳥』は私も教えられないから、礼子先生の『瀕死の白鳥』を吸収してね」と言われています。玲子先生がちょっと踊って見せてくださったんですけど、もうすごく綺麗で感動しました。
『瀕死の白鳥』は全部で3分半くらい。観ているともっと長く感じるけれど、意外と短いんですよね。特別すごいテクニックや大きいジャンプ、回転もないし、最初は表現の方が大変なのかなと考えていました。でも実際自分が踊ってみると、パ・ド・ブレや腕の動きにしても、思うようにはできなくて。例えば反った状態のままパ・ド・ブレする場面があるけれど、私は身体が柔らかい方なので、伸ばすのではなくてキープする方が必要になる。そこを上手く使いながら踊るのはすごく難しくて、体幹のいいトレーニングにもなりそうです。やればやるほど課題が出てきて、すごい踊りなんだって感じます。
『瀕死の白鳥』はダブルキャストで、もうひとりはプリンシパルの永橋あゆみさん。大先輩なので、やはりプレッシャーを感じます。ただあゆみさんは地元にいたとき舞台でたびたびご一緒していたので、そういう意味ではすごく親しみがあって。あゆみさんが大阪の舞台にゲストでよく来ていて、私も子どものころコール・ド・バレエで後ろで踊っていたんです。入団して久しぶりにお会いしたけれど、名前を覚えていてくださって、すごくびっくりしたし、うれしかったですね。