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『あいちトリエンナーレ2016』出演! イスラエル・ガルバン インタビュー!

愛知を舞台に3年に一度開催される現代アートの祭典『あいちトリエンナーレ2016』がこの夏いよいよ開幕。8月11日〜10月23日の計74日間に渡り、アートとダンスで愛知の街を盛り上げます。今回パフォーミングアーツ部門では、10組のアーティストによる計13作品とオペラ作品を上演。注目のラインナップと、スペシャルインタビューをお届けします!

イスラエル・ガルバン インタビュー!

今世界中から注目を集めているフラメンコ界の革命児、イスラエル・ガルバンのインタビューをお届けします!

 

©Hugo Gumiel

©Hugo Gumiel

 

Q:日本で『SOLO』を初演されます。本作の発想のきっかけをお聞かせください。

ガルバン>この作品のインスピレーションは偶発的なものでした。というのも、”Los zapatos rojos(1998)”(『赤い靴』)の公演中、突然動けなくなってしまい、舞台が一分間静寂に包まれるということがありました。一分の間、心の中は困惑でいっぱいでした。しかし、踊るために身体と精神も静寂を必要としていることが分かりました。その瞬間から内観的模索がはじまり、自分の中で私自身の音楽を創り出し、それを踊ることができるようになりました。これが今日みなさんが観ている作品『SOLO』の発端であり、コンセプトでもあります。

Q:『SOLO』は完璧な無音で踊られます。ご自身の中で何か特定の楽曲や楽器をイメージされているのでしょうか。

ガルバン>これは精神的な旅のようなものです。私のイメージの中ではどんな音楽でもあり得るのですが、そのどれでもなく、その全てでもあるのです。同様に来ては去って行くイメージを視覚化し、空に向かって踊り、心が流れに乗ることで、感情的な戯れに動きという形を与えているのです。私の身体は旅をし、同様に私を見つめるその日だけの観衆とともに旅をし、作品『SOLO』を通して観客と間近になることで、彼らの目を見つめることもできます。結果、作品の一部となる観客との会話というものも成立するわけです。その瞬間、作品にとって重要な親密関係が生まれます。

 

©Luis Castilla

©Luis Castilla

 

Q:『FLA.CO.MEN』ではフラメンコダンサーとして生まれた自身の出自を辿っています。この作品をつくろうと思ったきっかけ、改めて自身を見つめ直そうと考えた動機とは? 

ガルバン>『FLA.CO.MEN』は過去の作品と未知の新しい領域を開拓していく今後の作品との間を結ぶ、蝶番のようなものとして生まれました。以前の作品は、死、深い苦悩、個人的恐怖、宗教に基づいていました。『FLA.CO.MEN』は、非常に自由な動きの連続でできており、そこにはアイロニーの不可欠さが表現されています。またそれは、観客にポジティブなエネルギーを伝播する癒しの行為でもあるのです。

Q:ガルバン氏のクリエイション法をお聞かせください。

ガルバン>実際にはさまざまな形で創り出されるのですが、たいていの場合は最初に私が直感で“これは大切だ”と思ったイメージを視覚化します。そして音楽や振りをつけていく時点で、段々と練り上げられ具体化しています。はじめはある振付が少しずつ洗練され研ぎ澄まされていきます。以前はそうでもなかったのですが、現在はいつも新しい情感や身体性を模索することにオープンであるようにしています。”ドゥエンデ”(フラメンコの芸の魔力)や直感に委ねるために、内面が清浄で澄みきった状態であることはとても重要です。どんなことでもインスピレーションになりうるのです。私の感受性は電波探知機のように全てを分析し、クリエイションにとって有効な要素を抽出します。

 

©Hugo Gumiel

©Hugo Gumiel

 

 

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