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伊藤キム『家族という名のゲーム』インタビュー!

昨年フィジカルシアターカンパニーGEROを立ち上げ、10年ぶりに創作活動を再開した伊藤キムさん。今年1月の旗揚げ公演に続き、この秋ダンスの祭典Dance New Air 2016で新作『家族という名のゲーム』を発表します。創作にあたる伊藤キムさんに、新作に込めた想いと、カンパニー立ち上げの経緯をお聞きしました。

旅から10年目にあたる2015年にフィジカルシアターカンパニーGEROを設立。この時期にGEROというカンパニーをつくろうと思ったのは? また新たなカンパニーをつくろうという気持ちは以前から抱いていたのでしょうか?

伊藤>新しいカンパニーをつくろうとは全く考えていませんでした。本当に流れですね。もともと自分が声楽の勉強をしていたので、歌を歌ったり、ボイスパフォーマンスをやりたいと思い、実際そういう短い作品をつくっていたんです。ただやっているうちに、これはひとりではなく何人かでやる方がいいんじゃないかと思いはじめた。あとたまたま他の人の作品に出る機会があって、たとえば山下残さんの作品に出てそこで言葉を使ったりと、声だったり言葉という方向にだんだん自分が連れて行かれている、そういう方向に自分が向いているなという感覚があって、ではカンパニーをつくろうと考えました。

 

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ダンス作品を観に来る観客のなかには、キャストが言葉を発することに抵抗を感じる人もいるのでは?

伊藤>どういう状況でその言葉があらわれるかにもよるのではないでしょうか。確かにリハーサルを重ねていくなかで、“ここには言葉はいらないと思います”とスタッフが言ってくれて、ああそうかと思ったりすることもあります。他の部分で言葉を使っているからという意味も大きいけれど、言葉はなくて身体だけの方がむしろ身体自身が生きてくるということもあると思うし、なんでもかんでも言葉があればいいというわけではない。ただいずれにせよダンスのなか、身体の表現のなかに言葉というものを放り込むのはかなり実験的なことであるのは事実。言い訳をするわけではないけれど、失敗することもあると思います。上手くいかない場合もあったり、いろいろ試行錯誤を重ねていくなかで、だんだんやるべきことがクリアになっていくのかなという気がしています。

 

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GEROの立ち上げと同時に創作活動を10年ぶりに再会されました。創作に対する意識や意欲がまた変わってきたということでしょうか。

伊藤>昔ばんばん作品をつくっていたときとはまたちょっと違います。というのも、作品づくりはつまらなくなっちゃったけど、ワークショップをやっていくうちに、人づくりは楽しいなという風に思うようになったんです。人をつくるのが面白いという気持ちは今でもあって、むしろ作品をつくるより人をつくる方が面白い。同時に創作ももう一回やろうということで、昔のように本当に作品だけ作るというのとはちょっと違ってきている感じがします。

 

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現在は創作に徹していますが、今後GEROの作品にキムさんが登場する予定はありますか?

伊藤>予定は今のところないけれど、可能性はゼロではないですね。

 

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今後のGEROの活動や展開をどう考えていますか?

伊藤>GEROというカンパニーとしてのスタイルをちょっとずつ時間をかけて見つけていくというのがまずひとつ。あとはその先の話になりますが、国内のさまざまなところ、海外も含めて、できるだけいろいろなところで作品を上演したいという気持ちがあります。特に再演は大切にしたいので、今回の作品もいずれ再演をしたいと思っています。

 

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-コンテンポラリー