NBAバレエ団『リトルマーメイド』リン・テイラー・コーベット インタビュー!
NBAバレエ団芸術監督 久保紘一インタビュー
『リトルマーメイド』をNBAバレエ団で上演しようと考えたきっかけをお聞かせ下さい。
久保>以前『真夏の夜の夢』を上演したときに、リハーサルのために招いたミストレスから“今アメリカではリンの『リトルマーメイド』を上演していてソールド・アウト続きだ”という話を聞いたのがそもそものはじまりでした。早速映像を拝見して、これをぜひNBAバレエ団でも上演したいと考え、プログラムを組むことになりました。
アメリカ版と日本版で変更する部分、新たに手を加える部分はあるのでしょうか。
久保>基本的にアメリカ版を踏襲しつつ、さらに進化させていきたいと思っています。というのもリンはすごくフレキシブルで、それがまた彼女のいいところ。“これでなければダメ”ということは全くなくて、実際リハーサルの最中もダンサーの様子を見ながら細々と動きを変えています。最新のものが最良であると信じ、より一層のグレードアップを目指しています。
また今回日本初演を迎えるにあたり、『HIBARI』でナレーションを務めてもらった綿引さやかさんにお願いして、NBA版のナレーションを新たにつくりました。歌はアメリカ版の英語バージョンになりますが、やはりみなさん歌の意味が知りたいと思うので、当日は日本語の歌詞カードを用意する予定です。
『ガチョーク讃歌』や『HIBARI』など、リン・テイラー・コーベットさんの作品はNBAバレエ団でこれまでたびたび上演されてきました。
久保>『ガチョーク讃歌』をコロラド・バレエ団で上演したとき彼女が振付けに来たのが最初の出会いでした。なのでもう10年以上の付き合いになるでしょうか。『ガチョーク讃歌』はとても楽しい作品で、NBAバレエ団でも何度か上演しています。
2014年に『ガチョーク讃歌』を上演したときリンを日本に招いていますが、そのとき彼女がテレビで美空ひばりさんの番組を見たのがきっかけで誕生したのが『HIBARI』でした。“ひばりさんをモデルにしたバレエをつくってはどうか”と言われ、“ならばリンに振付けをお願いしたい”ということで作品化することになりました。
創作意欲に関しては本当に貪欲だなと感じます。もう大ベテランではありますが、自身の中でびびっとくるモチーフがあるとどんどんチャレンジされている。先日もニューヨーク・シティ・バレエ団に振付けをしたりと、アメリカ本国でも精力的に活動されているようです。
リンとは長い付き合いでもあり、絶大な信頼を置いているので、キャスティングに関しては基本的に彼女にお任せしています。リンの審美眼を信じているし、何より最も作品をわかっているのは彼女であって、そのイメージに合うダンサーを選ぶのが一番だと考えています。