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NDT(ネザーランド・ダンス・シアター) 刈谷円香インタビュー!

世界最高峰のダンス・カンパニーのひとつ、NDT1のメンバーとして活躍する刈谷円香さん。NDTの来日ツアーに伴い、現在帰国中の彼女にインタビュー! 日本公演とこれまでのキャリア、NDTでの今をお聞きしました。

2020年8月、芸術監督がポール・ライトフットからエミリー・モルナーにかわりました。カンパニーにどんな変化がありましたか?

エミリーはフォーサイスのフランクフルト・バレエ団で踊り、NDTに来る前はBallet BCというバンクーバーのダンスカンパニーの芸術監督をされていたそうです。

芸術監督がエミリーに変わって、NDTも多くのことが変わりました。彼女になってから新しい振付家もたびたび来るようにもなりました。そこでたまに馴染みのある振付家のクリエイションがあったりすると、自分の中でほっとする部分もあったりします。

キリアン、クリスタル、マルコなど、昔からNDTとゆかりのある振付家のスタイルを踏襲しつつ、新しいことに挑戦してる。新しい方向に行っている、まだまだ変化があるのだなというのを、この数年体感してるところです。

NDT記者会見にて、芸術監督のエミリー・モルナー ©Tatsuo-Nambu

一昨年から昨年にかけて、サバティカル制度を利用して1年間NDTを離れて活動されています。

サバティカルはオランダで新しく制定された制度で、カンパニーに所属するアーティストはコントラクトを置いたまま1年間外で活動することができるというものです。有給ではないけれど、カンパニーに戻ってくることができるという保証がありながら、期間限定でフリーランスとして働けます。

NDTはダンサーにとって本当に素晴らしい環境で、たくさん保証もあって、毎月お給料をもらえて、雇用されている身としては本当に恵まれているなと思います。NDTの現場で魅力的な時間を過ごしていたから、そこに満足してはいました。ただその分やっぱりスケジュールはタイトで、拘束時間も長く、決められた時間に決められたものをきちんとクリアしていかなければなりません。

チューリッヒ・バレエ・ジュニアの時代から、ダンサーとしてカンパニーのスケジュールをこなしていくという日々を10年以上続けてきました。いったんそういう世界から離れ、自分でスケジュール管理をして、ちょっと踊りからも距離を置いてみたらどうだろう、という気持ちがありました。

芸術監督がかわり、劇場もルーセント・ダンス・シアターから新しいアマーレ劇場に移ったりと、ちょうどいろいろ変化がカンパニーの中で起こっているときでした。挑戦するなら今だと、ふと思いついて。未知の世界にいきなり飛び込むのは怖いけど、とりあえず1年間だけやってみよう、1回外を見てみようと。またNDTに戻ってきたときどう見えるのだろう、という好奇心もありました。

『ONE FLAT THING, REPRODUCED』2021 ©Rahi Rezvani

サバティカルの期間中は、オランダを拠点に、イギリスに1ヶ月間プロジェクトで行ったり、いろいろな場所で働くことができました。やっぱり世界が広がりましたね。またそこで距離を置いたことで、カンパニーのいいところ、悪いところも見ることができるようになった。すごくいい経験になりました。

外へ出てみて気づいたことはたくさんあります。やっぱりNDTはチームワークがすごい。例えばカンパニー・マネージャーに、衣裳さん、舞台スタッフさん、音響さん、照明さん含めて、みなさんがひとつになって舞台をつくり上げている。ダンサーはスポットライトを浴びてているから外から見えやすいけれど、そうでないさまざまなジャンルの方々のサポートがある環境はやっぱり素晴らしいなと思います。彼らがあってこその表の世界で、見えない力があるから舞台上の世界が成り立っている。NDTに戻ってきてそれは再認識した部分でした。

『JAKIE』 ©Rahi Rezvani

サバティカル期間中はダンス以外の活動もされていたとのこと。例えば刈谷さんはモデルとしても活動されていますね。

モデルといわれると不思議な感じなんすけど(笑)。私は身長171cmとヨーロッパでは標準で、すごく背高いわけでもないでもない。だから自分の中ではモデルというより、ダンサー・モデルだと思っています。

もともとドイツにいた時にヘアサロンに声をかけられ、ヘアモデルをするようになったのがはじまりでした。ヘア・ショーで歩くこともあって、ヨーロッパ各地でいろいろなショーに出ています。ただまだ学生だったので、できる限りの時間内でやっていた感じです。

NDT2に入ってからは忙しすぎて、モデルの仕事はいったん全部辞めています。またモデル活動を再開したのはNDT1になってから。もともとバレリーナだった方がモデル事務所をはじめて声をかけていただくようになって、その中から少しずつできることをやっています。

あとNDT2のときから一緒に踊っていたイムレとマルネという振付家のデュオがいて、彼らがディオールとコラボレーションをするときに声をかけてもらい、私も参加しています。マルネはNDT1が2019年に来日した時に一緒に踊ってたダンス・パートナーでもります。

ファッションや広告もそうですが、時代的にもいろいろなジャンルでムーブメントがある撮影が多くなっていて、そこでダンサーを使う機会があったのだと思います。声をかけていただく機会が増えて、また自分でもやってみたいという気持ちもありました。本当にいろいろなご縁があってやらせていただいてるなと思います。

Modeling ©Valentine Bouquet

NDTの活動と平行して今後挑戦していきたいことは?

やりたいことがいっぱいありすぎて(笑)。踊りもそうですけど、自分の中で踊りをツールとして使って、いろいろなクリエイティブをしていきたいという想いがあります。ファッション、建築、写真、映像は自分の中でアートの分野としてもすごく魅力を感じるものがあるので、そうしたいろいろな分野のアートとコラボレーションできたらと考えています。

時間があるときに新しいことをどんどん学んでいこうと思って、サバティカルの期間中は演技のクラスにも挑戦しました。舞台で踊っていても、モノローグが出てくる作品があったり、モデルとしてミュージックビデオに出た時にアクティングすることがあったりと、やっぱり演技は必要になります。

苦手なものや知らないことに関しても、どんどん挑戦することで、自分のツールボックスに道具を増やしていけたらと。そこからどう発展するかはわからないけれど、いろいろな分野のアートとコラボレーションをして、いろいろなものつくり上げたい。何か機会があったら、踊り以外にもいろいろなことを経験していきたいと思っています。

『SOLO ECHO』2024 ©Rahi Rezvani

今後の予定をお聞かせください。

来日ツアーが終わったらNDTはオフで、私は7月末まで日本にいる予定です。日本で少しゆっくりできるといいなと思っています。

NDTの来シーズンは、キリアン作品とホフェッシュ・シェクター作品のレパートリーに、はじめてNDTでクリエイションするギリシャ人振付家のトリプル・ビルが9月に初演を迎え、12月までオランダ・ツアーが続きます。

リハーサルはもうはじまっていますが、やっぱり新作に取り組むのは楽しいですね。振付家が違えばプロセスも違う。顔馴染みの振付家とのクリエイションだったら再会を楽しみながらリハーサルすることもありますし、新しい振付家だったらプロセスの中でこんな感じなのかとお互いのことを知っていったりもする。本当に毎回学びがいろいろあるのを感じます。

カナダツアー中モントリオール公演前にて

 

プロフィール

©Rahi Rezvani

刈谷円香 Madoka Kariya

宮城県出身。5歳からエトワールバレエ館でクラシックバレエをはじめる。2009年ユースアメリカグランプリ ニューヨーク決戦で銀賞、スカラシップ賞受賞。2009年ドイツのパルッカシューレへスカラーシップ留学。2012年卒業と同時にバッチェラー・オブ・アート(学士号)を取得。2012年〜2014年、スイスのチューリッヒ・バレエ・ジュニアに所属。2014年〜2017年ネザーランド・ダンス・シアター2(NDT2)、2017年夏よりネザーランド・ダンス・シアター1(NDT1)で活躍。

 

公演情報

ネザーランド・ダンス・シアター2024日本ツアー
https://ndt2024jp.dancebase.yokohama/

2024年6月30日(日)16時
高崎芸術劇場 大劇場 (群馬県高崎市)

2024年7月5日(金)19時/6日(土)14時
神奈川県民ホール 大ホール (神奈川県横浜市)

2024年7月12日(金)19時/13日(土)14時
愛知県芸術劇場 大ホール (愛知県名古屋市)

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