映像芝居『錆からでた実』インタビュー!
森下真樹×束芋という異色のコラボレーションで2013年に初演を迎えた『錆からでた実』。青山円形劇場で上演し、第8回日本ダンスフォーラム賞を受賞するなど大きな反響を呼びました。当時の手応えはいかがでしたか?
束芋>こうしたコラボレーションをするのは初めての経験だったので、みなさんがこの作品をどういう風に観るかすごく興味がありました。私自身の手応えはあったとしても、今まで私が観てきたダンス作品とは全く違うものができ上がったので、それがどのように受け取られるのか想像がつかなくて。もちろん賛否両論はあったし、私の耳にも届いていました。その上で賞をいただいたのはすごくうれしかったです。
賛否の賛と同じくらい否がありました。ただ私としては否がないと肩すかしのような気がするというか、“まぁ良かったよね”程度の反応よりも、賛があってちゃんと否がある方が面白い。だから否の方も興味深く受け止めていましたし、実際いろいろな捉え方があって、そういう部分は今回の作品にもいかしています。
森下>確かに賛と同時に否も多く聞きましたし、お客さまの反応もいろいろだなと思ったけれど、自分のなかではそのときやれることはやったという手応えがありました。ただ初演・京都での再演(2014年)とやってきて、もっと違う展開もあるのでは、これで終わりではないだろうな、という感覚もありましたね。
初演と再演は森下さん、川村美紀子さん、きたまりさんがダンサーとして出演。鈴木さんは振付助手として参加されています。
鈴木>本稽古の前に振りを試してネタを少しつくっておくような、いわゆる振付助手の仕事からはじまって、本当にいろいろなことをやりました。いざ本稽古がスタートすると、ダンサー3人とも外国人かというくらい同じ言語が通じない(笑)。みなさんの通訳をしながら進めていった感じでしたね。
束芋>しっかりしている人が美奈子さんしかいない、美奈子さんがいなかったら進んでいかないよね、という状態だったと思う。ダンサーの教育から始まって、ちょっとしたタイムスケジュールなんかも引っ張ってくれたし、はたから見て“振付助手ってこんなこともするの?”というくらい、いろいろ助けてくれました。
鈴木>第二弾の京都公演も振付助手で参加しましたが、あのときはあまり時間がなかったんですよね。“絶対にあのふたりは振りを覚えてこないよね”という話からはじまって、いざ集まったらやっぱり覚えてきてないし(笑)。
森下>そんなワケで、京都公演ではまず振り起こしからはじめました。川村さんのソロをがらっと変えたりといった作業もあったけど、稽古の時間が二週間くらいしかなくて、初演に比べると一瞬で終わった気がします。