シディ・ラルビ・シェルカウイ『DUNAS -ドゥナス-』インタビュー!
コンテンポラリー・ダンスとフラメンコというジャンルの違うダンスをどのように融合させたのでしょう。振付作業の方法とは?
シェルカウイ>お互いがアイデアを出し、お互いがそれを返していく。この作品をつくり上げていく過程というのは、まるで卓球のようでもありました。例えばマリアが布を使いたいと言い、そのアイデアに対して私がじゃあ舞台装置全体を布にしたらどうか、またそれをマリアの衣裳の一部にしたらどうかというアイデアを出す。ときに彼女がアイデアを出し、またときには私が出して、それを実際どのように形にしていくか考えながらアイデアを融合させていく。ひとつのアイデアがふたりの間でどんどん発展していきました。ある意味ゲームのような感覚だったと思います。
彼女自身、振付家でもあるので、細部だけでなく全体像を見ることができ、総合的に考える力を持っています。大規模な作品をどのように振付けしていけばいいか熟知しているので、これは私にとって大きな助けになりました。
マリアとのクリエイション、共演の過程で何か新しい発見はありましたか?
シェルカウイ>マリアはすばらしいユーモアセンスの持ち主で、クリエイションの最中は実によく笑い、とても楽しい時間を過ごしました。再演にあたり、マリアにアントワープへ来てもらい、ふたりで一緒に感覚を呼び起こしていきました。マリアはとても規律正しい方なので、彼女と仕事をするのは自分にとってとてもためになります。
マリアと私は共通する部分が多いように感じます。まずふたりともきれいな動きをしたいと考えていること。またふたりともお互いから学びたいという気持ちが強くあります。体型的にも共通するものがあって、背格好も似通っているし、特に腕の形がとても似ています。もちろん彼女の腕の方が長くてきれいですが、例えば手首の動かし方などはすごく通じるところがある。リズム感もそうで、リズムの刻み方の感覚も似ているように思います。
私たちはある意味兄弟、あるいは愛人のような感覚があったように感じます。マリアは女性ですがとても芯の強い人です。逆に私は自分の内にある繊細な部分を動きに取り入れることが多い。真逆な部分を持ち合わせていたことで、強い女性と繊細な男という通常のイメージを覆すような感覚をこの作品に取り入れることができたと思っています。
舞台上で描かれるふたりの関係性、そこにあらわれるものとは?
シェルカウイ>男女が互いに触れ合おうとする、それを求めている踊りだと思っています。お互いに認め合い、目と目を見ながら、互いに繋がりを生み出そうとしています。そして最終的にはひとつになる。ときにはリズムを通して、動きを通して、あるいは呼びかけ、互いにわかり合おうとする。この作品の間中、ある種の会話が流れています。